こちらの「住宅ローン控除(減税)ガイド」では、住宅借入金等特別控除の仕組みについて、詳しくまとめています。
住宅ローン控除は、対象の住宅によって、適用条件や申請方法が異なりますが、順に読み進めていけば、全体像を理解できるようにまとめています。
税制や特例の変更で、一部内容が変わっている可能性もあります。
申告・納付する際は、「住宅ローン控除に関連する情報まとめ」を確認するか、納付先もしくは税理士など専門家に確認してください。
住宅ローン控除(減税)とは
住宅ローン控除(減税)とは、個人が住宅ローンを利用して、マイホームの新築・購入・増改築等をしたときに、『マイホームにかかった住宅ローンの年末残高を基に計算した金額を、所得税や住民税から控除できる制度』のことです。
住宅ローン減税制度は、住宅ローンを利用して住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るために設けられました。
正式には「住宅借入金等特別控除」「特定増改築等住宅借入金等特別控除」という名称で、住宅ローン控除や住宅ローン減税とも呼ばれます。
住宅借入金等特別控除 | マイホームの新築・購入・増改築等が対象 |
---|---|
特定増改築等住宅借入金等特別控除 | マイホームのバリアフリー改修工事や省エネ改修工事、多世帯同居改修工事を含む増改築等が対象 |
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」と記載されることもありますが、「住宅借入金等特別控除」と「特定増改築等住宅借入金等特別控除」を一緒に表したものです。
その他に関連する税額控除には、以下のようなものがありますので、適用条件や計算方法、最大控除額がまったく違います。
- 認定住宅新築等特別税額控除(投資型減税)
- 住宅特定改修特別税額控除(リフォームローン控除)
- 住宅耐震改修特別控除(投資型減税)
適用条件で似たようなものが多いため、勘違いしやすいですが、こちらについては、後ほど説明します。
住宅ローン控除の基本的な控除パターン
まずは、住宅ローン控除でどのように減額されていくのか、イメージを掴みましょう。
住宅ローン控除の適用期間は「10年間」で、毎年の住宅ローン年末残高の1%が、所得税や住民税から控除されます。
たとえば、住宅ローン年末残高が3,200万円の住宅ローン控除額は、
です。
①所得税から控除される
住宅ローン控除は、まず所得税から減額されますので、所得税額が28万円の場合は、
で、所得税が全額控除されました。(計算事例では、復興特別所得税額を考慮していません)
つまり、その年に28万円納付しなければいけない所得税が、住宅ローン控除を受けると0円になります。
②所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除額は、住民税から控除できる
事例では、控除しきれなかった控除額が「4万円」あります。
この控除しきれなかった4万円を、更に住民税から控除できるのが、住宅ローン控除の特徴です。
例えば、住民税が35万円の場合、所得税から控除しきれなかった4万円を差し引くと
が、住宅ローン控除後の住民税額となります。
つまり、翌年に35万円納付しなければいけない住民税が、住宅ローン控除を受けると31万円に減額されます。
ただし、住民税から控除できる金額には、上限が設けられています。
住民税から減額される控除額の求め方や、差し引かれる時期については、以下で詳しくまとめていますので、あとで確認しましょう。

住宅ローン控除で減税される住民税は上限13万6500円まで!
- 住宅ローン控除(減税)とは
- 住宅ローン控除は翌年の住民税から控除される
- 住民税の住宅ローン控除には上限額がある
- 住民税から控除できる上限額の計算方法

いつから住宅ローン控除分が住民税から差し引かれる?
- いつから住民税から差し引かれるのか(給与所得者・個人事業主)
- 住宅ローン控除を受ける順番
- 住民税から控除されたことを確認する方法
- 住民税から控除を受けるには?
③住民税から控除しきれなかった住宅ローン控除額は、特に何もなし
事例では、住民税からすべて控除できましたが、住宅ローンの借入金額と年収によっては、住民税からも控除しきれない場合があります。
住民税から控除しきれなかった分については、他の税金から控除することができません。
よって、住宅ローン控除の恩恵を100%受けられないことになります。
住民税から控除しきれない以外にも、各年の控除限度額40万円にも満たない場合があります。
どれぐらい住宅ローン控除の恩恵を受けられるかについては、借入金額・年収別にシミュレーションしていますので、実際にいくらぐらい戻ってくるのかも含めてチェックしましょう。

住宅ローン控除はいくら戻ってくる?年収667万円以上で最大40万円減額!
- 住宅ローン控除の最大控除額
- 住宅ローン控除の計算方法
- 最大控除額400万円(500万円)を全額控除できる条件
- 借入金額別・年収別のシミュレーション
控除期間が10年から13年に延長
住宅ローン控除の控除期間は「10年間」ですが、2019年10月からの消費税10%の増税に伴い、2019年10月から控除期間が3年間延長されます。
ただし、「2019年10月1日から2020年12月31日までに入居すること」が条件の1つで、期間がとても短いです。
住宅ローン控除額の計算方法も違いますので、2020年中にマイホームを考えている方は、適用条件を確認しましょう。

住宅ローン減税はいつまで延長!?対象者は13年間控除される!
- 住宅ローン減税の延長とは
- 延長3年間の計算方法
- 住宅ローン減税延長の対象者
所得税から控除できる住宅関連の税額控除の種類
所得税から控除できる住宅関連の税額控除の種類は、大きく分けて以下の3つがあります。
- 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
- リフォームローン控除(特定増改築等住宅借入金等特別控除)
- 投資型減税(認定住宅新築等特別税額控除・住宅特定改修特別税額控除・住宅耐震改修特別控除)
リフォームをしない方は、「リフォームローン控除」「投資型減税」は、ほとんど関係ありませんが、中古住宅を購入してリフォームをする方などは、リフォームローン控除や投資型減税に該当する場合もあります。
どれを選ぶにしても併用はできませんので、該当する税額控除の中から1つを選択することになります。
それぞれ、適用条件や計算方法、最大控除額に違いがありますので、違いをしっかり理解しましょう。
税額控除の区分
国税庁サイトでは、住宅ローン控除・リフォームローン控除・投資型減税を以下の13の区分で分けています。
- ①住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
- ②認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)
- ③中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
- ④要耐震改修住宅を取得し、耐震改修を行った場合(住宅借入金等特別控除)
- ⑤増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
- ⑥借入金を利用して省エネ改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)
- ⑦借入金を利用してバリアフリー改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)
- ⑧借入金を利用して多世帯同居改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)
- ⑨省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
- ⑩バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
- ⑪多世帯同居改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
- ⑫耐久性向上改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
- ⑬耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)
区分数は多いですが、実際には共通する適用条件が多く、それぞれの区分で固有条件が加わる形になります。
税額控除の種類で分けると、以下の5つだけです。
税額控除の種類 | 通称 | 取得住宅の区分 | 具体例 |
---|---|---|---|
住宅借入金等特別控除 | 住宅ローン控除 住宅ローン減税 | ①住宅を新築又は新築住宅を取得した場合 | 【住宅ローンを借りている場合のみ】 ・新築建売住宅を購入 ・新築住宅を建築 ・新築分譲マンションを購入 ・新築長期優良住宅を購入 ・新築長期優良住宅を建築 ・新築低炭素住宅を購入 ・新築低炭素住宅を建築 |
③中古住宅を取得した場合 | 【住宅ローンを借りている場合のみ】 ・築25年以内の中古分譲マンションを購入 ・築20年以内の中古住宅を購入 ・購入2年以内の耐震基準適合証明書がある中古住宅を購入 | ||
④要耐震改修住宅を取得し、耐震改修を行った場合 | 【住宅ローンを借りている場合のみ】 ・築25年を超えた耐震基準を満たしていない中古分譲マンションを購入して、耐震改修で耐震基準を満たしたもの ・築20年を超えた耐震基準を満たしていない中古住宅を購入して、耐震改修で耐震基準を満たしたもの | ||
⑤増改築等をした場合 | 【住宅ローンを借りている場合のみ】 ・既存住宅をリフォーム・リノベーション ・中古住宅を購入してリフォーム・リノベーション ・以下のいずれかのリフォーム工事 ・耐震 ・省エネ ・バリアフリー ・同居対応 ・長期優良住宅化 | ||
認定住宅新築等特別税額控除 | 投資型減税 | ②認定住宅の新築等をした場合 | 【現金と住宅ローンどちらでも利用可】 ・新築長期優良住宅を購入 ・新築長期優良住宅を建築 ・新築低炭素住宅を購入 ・新築低炭素住宅を建築 ※長期優良住宅・低炭素住宅が対象(一般住宅は対象外) |
特定増改築等住宅借入金等特別控除 | リフォームローン控除 リフォームローン減税 | ⑥借入金を利用して省エネ改修工事をした場合 | 【住宅ローンを借りている場合のみ】 ・窓の改修工事や断熱工事、太陽光発電取り付け工事、長期優良化の特定耐久性向上改修工事などの省エネ工事 |
⑦借入金を利用してバリアフリー改修工事をした場合 | 【住宅ローンを借りている場合のみ】 ・スロープや手すりなどのバリアフリー改修工事 | ||
⑧借入金を利用して多世帯同居改修工事をした場合 | 【住宅ローンを借りている場合のみ】 ・親世帯と同居するのに必要な設備の増築やリフォーム工事などの多世帯同居改修工事 | ||
住宅特定改修特別税額控除 | 投資型減税 | ⑨省エネ改修工事をした場合 | 【現金と住宅ローンどちらでも利用可】 ・一定の省エネ改修工事 |
⑩バリアフリー改修工事をした場合 | 【現金と住宅ローンどちらでも利用可】 ・一定のバリアフリー改修工事 | ||
⑪多世帯同居改修工事をした場合 | 【現金と住宅ローンどちらでも利用可】 ・一定の多世帯同居改修工事 | ||
⑫耐久性向上改修工事をした場合 | 【現金と住宅ローンどちらでも利用可】 ・住宅耐震改修または(及び)一般省エネ改修工事を併せて行う耐久性向上改修工事 | ||
住宅耐震改修特別控除 | ⑬耐震改修工事をした場合 | 【現金と住宅ローンどちらでも利用可】 ・昭和56年5月31日以前に建築された家屋で耐震改修工事 |
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用条件
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用条件について、以下の5つの区分でそれぞれまとめています。
「②認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)」は、住宅ローン控除ではありませんが、新