住宅ローン控除はいくら戻ってくる?年収667万円以上で最大40万円減額!

住宅ローン控除はいくら戻ってくる?年収667万円以上で最大40万円減額!

住宅ローン控除を受けると、10年間で最大400万円(認定住宅で500万円)が所得税や住民税が減税されます。

しかし、最大限住宅ローン控除を受けられる方は、ほんの一部の方のみで、ほとんどの方は、最大400万円まで控除できません

今回は、「住宅ローン控除で実際にいくら戻ってくるのか」、最大限控除されるには、「今の年収と借入金額がいくら必要なのか」について、シミュレーションしていきます。

主な要点
  • 住宅ローン控除の最大控除額
  • 住宅ローン控除の計算方法
  • 最大控除額400万円(500万円)を全額控除できる条件
  • 借入金額別・年収別のシミュレーション

シミュレーションの結果

先にシミュレーションの結果から言えば、以下の場合に最大限控除されます。

  • 一般住宅なら、年収667万円以上、借入金額5,294万円以上
  • 長期優良住宅なら、年収735万円以上、借入金額6,676万円以上

ほとんどの方は、条件を満たすことが難しいと思いますが、住宅ローン控除で実際にいくら戻ってくるかシミュレーションもしていますので、根拠と併せてご確認ください。

尚、ご自身の年収や借入予定金額から、具体的にどれぐらいの割合で活用できているか知りたい方は、以下でシミュレーションできますので、ご利用ください。

住宅ローン控除シミュレーション計算ツール!長期優良住宅にも対応
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  • 年収から計算
  • 源泉徴収票から計算(高精度)
  • 長期優良住宅対応
  • 元利・元金均等返済対応
エクセルで住宅ローン控除額を計算!元利・元金均等別にシミュレーション!
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  • エクセルツールのダウンロード
  • シミュレーションツールの使い方
  • シミュレーション結果の比較
  • その他のシミュレーション方法

住宅ローン控除(減税)とは

住宅ローン控除(減税)とは、個人が住宅ローンを利用して、マイホームの新築・購入・増改築等をしたときに、マイホームにかかった住宅ローンの年末残高を基に計算した金額を、所得税や住民税から控除できる制度のこと

住宅ローン控除(減税)とは、個人が住宅ローンを利用して、マイホームの新築・購入・増改築等をしたときに、『マイホームにかかった住宅ローンの年末残高を基に計算した金額を、所得税や住民税から控除できる制度』のことです。

正式には「住宅借入金等特別控除」という名称で、住宅ローン控除や住宅ローン減税とも呼ばれます。

住宅ローン控除の最大控除額

一般住宅と認定住宅の住宅ローン控除内容の比較
一般住宅認定住宅
(長期優良住宅・低炭素住宅)
控除期間10年間10年間
控除率1%1%
控除対象借入限度額4,000万円5,000万円
各年の控除限度額40万円50万円
最大控除額400万円500万円

住宅ローン控除の控除期間は、「10年間」です。

新築住宅を購入・建築をした場合は、各年の控除限度額は「40万円」で、10年間で最大控除額「400万円」まで、所得税や住民税から減税されます。

更に、新築住宅が「認定住宅」の場合は、各年の控除限度額は「50万円」で、10年間で最大控除額「500万円」になります。

「認定住宅」とは、以下の2つの住宅のことで、それ以外は「一般住宅」となります。

  • ①認定長期優良住宅(長期にわたり良好な状態で使用するためのにいくつかの条件を満たした住宅)
  • ②認定低炭素住宅(「都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)」の認定基準を満たした住宅)

今回は、「一般住宅」と「認定住宅」で、年収と借入予定金額から、実際にいくらぐらい戻ってくるのか、それぞれでシミュレーションしています。

新築住宅を購入・建築をした場合の、住宅ローン控除の適用条件や計算方法、申請方法については、以下で詳しくまとめていますので、ご確認ください。

新築住宅を取得(一般住宅)

新築住宅を購入・建築した時の住宅ローン控除の適用条件と計算方法
新築住宅を購入・建築した時の住宅ローン控除の適用条件と計算方法
  • 住宅ローン控除(減税)とは
  • 新築住宅取得による住宅ローン控除の適用条件
  • 新築住宅取得による住宅ローン控除額の計算方法
  • 初年度の確定申告と必要書類

新築住宅を取得(長期優良住宅)

長期優良住宅で住宅ローン控除を受けるための適用条件と計算方法
長期優良住宅で住宅ローン控除を受けるための適用条件と計算方法
  • 住宅ローン控除(減税)とは
  • 長期優良住宅とは
  • 長期優良住宅取得による適用条件と計算方法
  • 住宅ローン減税と投資型減税の違い

住宅ローン控除の計算方法

住宅ローン控除の基本的な控除パターン

住宅ローン控除の控除額は、以下の計算式から求められます。

住宅ローン控除額の計算式住宅ローン控除額=住宅ローン年末残高×1%

住宅ローン控除の計算事例

たとえば、一般住宅の住宅ローン年末残高が3,200万円、所得税額が30万円の場合、住宅ローン控除額は、

3,200万円×1%=32万円

となります。

(この事例では、すでに各年の控除限度額40万円に達していないため、住宅ローン控除の恩恵を100%受けられていません。)

①所得税から控除される

住宅ローン控除は、まず所得税から減額されますので、所得税額30万円から住宅ローン控除額を差し引くと

30万円ー32万円=-2万円

で、所得税から32万円全額控除されました。(計算事例では、復興特別所得税額を考慮していません)

②所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除額は、住民税から控除できる

控除しきれなかった2万円は、更に住民税から控除できます

例えば、住民税が38万円の場合、所得税から差し引かれなかった2万円を差し引くと

38万円ー2万円=36万円

が、住宅ローン控除後の住民税額となります。

最大控除額400万円(500万円)を全額控除できる条件

一般住宅では最大控除額400万円、認定住宅では最大控除額500万円でした。

最大控除額400万円(認定住宅は500万円)を全額控除できる条件は、以下のとおりです。

  • ①10年間、住宅ローン年末残高が4,000万円以上(認定住宅は5,000万円)あること
  • ②所得税額と住民税額の合計額が40万円以上(認定住宅は50万円)あること

①10年間、住宅ローン年末残高が4,000万円以上(認定住宅は5,000万円)あること

最大控除額400万円(認定住宅は500万円)を全額控除するには、「10年間、住宅ローン年末残高が4,000万円以上(認定住宅は5,000万円)あること」が条件です。

【一般住宅】住宅ローン年末残高4,000万円×1%×10年間=400万円
【認定住宅】住宅ローン年末残高5,000万円×1%×10年間=500万円

10年後の住宅ローン年末残高が4,000万円以上の借入金額

10年後の住宅ローン年末残高が4,000万円の借入金額シミュレーションデータ
返済期間金利元利均等返済元金均等返済
10年目(120回目)の
住宅ローン年末残高
借入金額10年目(120回目)の
住宅ローン年末残高
借入金額
35年0.40%40,004,917円5,492万円40,000,040万円5,600万円
0.50%40,006,018円5,466万円40,000,040万円5,600万円
0.60%40,004,262円5,440万円40,000,040万円5,600万円
0.70%40,006,848円5,415万円40,000,040万円5,600万円
0.80%40,006,767円5,390万円40,000,040万円5,600万円
0.90%40,003,721円5,365万円40,000,040万円5,600万円
1.00%40,005,288円5,341万円40,000,040万円5,600万円
1.10%40,004,097円5,317万円40,000,040万円5,600万円
1.20%40,007,520円5,294万円40,000,040万円5,600万円
1.30%40,000,715円5,270万円40,000,040万円5,600万円
30年0.40%40,005,627円5,884万円40,000,080万円6,000万円
0.50%40,000,429円5,855万円40,000,080万円6,000万円
0.60%40,006,254円5,828万円40,000,080万円6,000万円
0.70%40,002,712円5,800万円40,000,080万円6,000万円
0.80%40,003,517円5,773万円40,000,080万円6,000万円
0.90%40,001,722円5,746万円40,000,080万円6,000万円
1.00%40,004,405円5,720万円40,000,080万円6,000万円
1.10%40,004,563円5,694万円40,000,080万円6,000万円
1.20%40,002,126円5,668万円40,000,080万円6,000万円
1.30%40,004,468円5,643万円40,000,080万円6,000万円

こちらは、「10年後の住宅ローン年末残高が4,000万円以上の借入金額」をシミュレーションしたデータです。

金利は固定金利で、「元利均等返済」と「元金均等返済」それぞれでシミュレーションしています。

「元利均等返済」と「元金均等返済」とは「元利均等返済」と「元金均等返済」は、住宅ローンで選択できる返済方法。
「元利均等返済」は、毎月の返済額が一定で、元金均等返済より元金の減り方が遅い
「元金均等返済」は、毎月の元金分が一定で、元利均等返済より元金の減り方が早い

住宅ローン返済方法のメリット・デメリット
元利均等返済方式元金均等返済方式
返済イメージ元利均等返済の返済イメージ元金均等返済の返済イメージ
メリット・毎月返済額が一定で、返済計画が立てやすい
・返済開始当初は、元金均等返済より返済額が少ない
・返済が進むにつれて、毎月返済額が少なくなる
・同条件で、元利均等返済より総返済額が少ない
デメリット・同条件で、元金均等返済より総返済額が多い
・元金の減り方が遅く、利息が高い
・返済開始当初の返済額が多い
・借入可能額が少なくなる

元金均等返済は、元利均等返済より元金の減り方が早いため、住宅ローン年末残高の減り方も早くなります。

元利均等返済と元金均等返済についてはicon-book元利均等返済と元金均等返済の違いは?住宅ローン返済はどっちがお得?で詳しくまとめていますので、ご確認ください。

2020年1月時点での金利は、1.2%程度なので、こちらを基準にすると、35年ローンの場合、元利均等返済で借入金額「5,294万円以上」、元金均等返済で借入金額「5,600万円以上」なければ、満額控除できません。

10年後の住宅ローン年末残高が5,000万円以上の借入金額

10年後の住宅ローン年末残高が5,000万円の借入金額シミュレーションデータ
返済期間金利元利均等返済元金均等返済
10年目(120回目)の
住宅ローン年末残高
借入金額10年目(120回目)の
住宅ローン年末残高
借入金額
35年0.40%50,006,096円6,865万円50,000,080万円7,000万円
0.50%50,003,909円6,832万円50,000,080万円7,000万円
0.60%50,005,313円6,800万円50,000,080万円7,000万円
0.70%50,003,145円6,768万円50,000,080万円7,000万円
0.80%50,004,652円6,737万円50,000,080万円7,000万円
0.90%50,002,747円6,706万円50,000,080万円7,000万円
1.00%50,004,753円6,676万円50,000,080万円7,000万円
1.10%50,003,136円6,646万円50,000,080万円7,000万円
1.20%50,005,662円6,617万円50,000,080万円7,000万円
1.30%50,004,740円6,588万円50,000,080万円7,000万円
30年0.40%50,000,246円7,354万円50,000,040万円7,500万円
0.50%50,002,289円7,319万円50,000,040万円7,500万円
0.60%50,001,052円7,284万円50,000,040万円7,500万円
0.70%50,003,466円7,250万円50,000,040万円7,500万円
0.80%50,002,644円7,216万円50,000,040万円7,500万円
0.90%50,005,567円7,183万円50,000,040万円7,500万円
1.00%50,005,430円7,150万円50,000,040万円7,500万円
1.10%50,002,164円7,117万円50,000,040万円7,500万円
1.20%50,002,761円7,085万円50,000,040万円7,500万円
1.30%50,000,162円7,053万円50,000,040万円7,500万円

こちらは、「10年後の住宅ローン年末残高が5,000万円以上の借入金額」をシミュレーションしたデータです。

認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)の場合は、更に借入金額が高く、元利均等返済で借入金額「6,617万円以上」、元金均等返済で借入金額「7,000万円以上」なければ、満額控除できません。

これだけの借入金額を借りるには、ある程度の年収がなければ、借りることができます。

年収から借りられる金額

金融機関の審査基準には、年収から借入可能額を計算する際に、「返済比率」を利用します。

返済比率とは

年収に対する年間返済額の割合のこと。
フラット35では、年収400万円未満は30%、年収400万円以上は35%以下であることを住宅ローンの利用条件としている。

例えば、借入金額5,294万円の場合、毎月返済額は154,427円で、年間返済額は、

154,427円×12ヶ月=1,853,124円

となります。

返済比率35%から年収を計算すると、

1,853,124円÷35%≒530万円

が、借入金額5,294万円を借りられる最低年収ということです

元利均等返済・元金均等返済別の借入可能な年収シミュレーションデータ
住宅の種類返済期間元利均等返済元金均等返済
借入金額毎月返済額借入可能な年収借入金額毎月返済額借入可能な年収
一般住宅35年5,294万円154,427円530万円5,600万円161,399円554万円
30年5,668万円185,862円638万円6,000万円196,749円675万円
認定住宅35年6,617万円193,019円662万円7,000万円201,749円692万円
30年7,085万円234,448円804万円7,500万円245,937円844万円