住宅ローン控除(減税)とふるさと納税は併用の限度額シミュレーション

住宅ローン控除とふるさと納税は、どちらも所得税や住民税から減税できる制度です。

「住宅ローン控除を受けながら。ふるさと納税の併用が可能か?」と疑問に持たれる方も多いですが、結論から言えば併用することは可能。

ただし、条件によっては、ふるさと納税分が単なる「寄付」に終わる可能性もあります。

こちらでは、住宅ローン控除とふるさと納税がどのようなものか、併用する際に気をつけるポイントについて、わかりやすく解説していきます。

主な要点
  • 住宅ローン控除(減税)とは
  • ふるさと納税とは
  • 住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?
  • 住宅ローン控除とふるさと納税併用の減税の流れ
  • 医療費控除との併用は?

住宅ローン控除(減税)とは

住宅ローン控除(減税)とは 『住宅ローン年末残高の一定の割合に相当する金額を所得税や住民税から控除される住宅ローン減税制度』のことです。

住宅ローン控除の控除額は、以下の計算式から求められます。

住宅ローン控除額の計算式住宅ローン控除額=住宅ローン年末残高×1%

たとえば、住宅ローン年末残高が3,200万円、所得税額が35万円の場合、住宅ローン控除額は、

3,200万円×1%=32万円

となります。

所得税から住宅ローン控除額を差し引くと

35万円ー32万円=3万円

で、所得税から32万円減税されます。

もしも、所得税額が31万円であれば、

32万円ー31万円=-1万円

と、1万円控除しきれません。

控除しきれなかった1万円は、住民税から減税されます。

住宅ローン控除を受けるには?

住宅ローン控除を受けるには、居住を開始した初年度に確定申告を行う必要があります。

2年目以降については、就業形態によって申告が異なります。

個人事業主の場合は、毎年確定申告で住宅ローン控除を受ける必要がありますが、会社員の場合、2年目以降は勤務先で行う年末調整で処理されるため、2年目以降の確定申告は不要です。

住宅ローン控除の詳しい説明についてはicon-book 住宅ローン控除(減税)とは?受けるための条件をわかりやすく解説!で詳しくまとめていますので、ご確認ください。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは 『特定の自治体に寄付することで返礼品を受け取ることができ、かつ、寄付した額に応じて所得税や住民税から控除される制度』のことです。

寄付金の控除額には上限が設けられており、寄付の合計金額から2,000円を差し引いた分が取得税や住民税から控除されます。

例えば、特定の自治体に10,000円寄付する場合、

10,000円-2,000円=8,000円

が、所得税や住民税から控除されます。

ふるさと納税の控除内訳については、以下の3つの控除・還付に分けられます。

  • 所得税からの還付
  • 住民税(基礎分)からの控除
  • 住民税(特例分)からの控除

所得税はすでに納めている税金から還付され、住民税は控除された納税額を翌年に納税します。

所得税から還付を受ける場合と住民税の基礎分・特例分から控除を受ける場合で、計算方法が違いますので注意しましょう。

ふるさと納税の計算式所得税からの還付=(ふるさと納税寄附額-2,000円)×所得税率
住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税寄附額-2,000円)×10%
住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税寄附額-2,000円)×(90%-所得税率)

ふるさと納税の控除上限額は、年収や家族構成によって変わりますので、住宅ローン控除と併用できるかチェックする場合は、ふるさと納税の寄付金控除上限額を確認しておきましょう。

ふるさと納税の寄付金控除上限額一覧
ふるさと納税を行う方本人の給与収入ふるさと納税を行う方の家族構成
独身又は共働き夫婦共働き+子1人(高校生)共働き+子1人(大学生)夫婦+子1人(高校生)共働き+子2人(大学生と高校生)夫婦+子2人(大学生と高校生)
300万円28,00019,00019,00015,00011,0007,000
325万円31,00023,00023,00018,00014,00010,0003,000
350万円34,00026,00026,00022,00018,00013,0005,000
375万円38,00029,00029,00025,00021,00017,0008,000
400万円42,00033,00033,00029,00025,00021,00012,000
425万円45,00037,00037,00033,00029,00024,00016,000
450万円52,00041,00041,00037,00033,00028,00020,000
475万円56,00045,00045,00040,00036,00032,00024,000
500万円61,00049,00049,00044,00040,00036,00028,000
525万円65,00056,00056,00049,00044,00040,00031,000
550万円69,00060,00060,00057,00048,00044,00035,000
575万円73,00064,00064,00061,00056,00048,00039,000
600万円77,00069,00069,00066,00060,00057,00043,000
625万円81,00073,00073,00070,00064,00061,00048,000
650万円97,00077,00077,00074,00068,00065,00053,000
675万円102,00081,00081,00078,00073,00070,00062,000
700万円108,00086,00086,00083,00078,00075,00066,000
725万円113,000104,000104,00088,00082,00079,00071,000
750万円118,000109,000109,000106,00087,00084,00076,000
775万円124,000114,000114,000111,000105,00089,00080,000
800万円129,000120,000120,000116,000110,000107,00085,000
825万円135,000125,000125,000122,000116,000112,00090,000
850万円140,000131,000131,000127,000121,000118,000108,000
875万円145,000136,000136,000132,000126,000123,000113,000
900万円151,000141,000141,000138,000132,000128,000119,000
925万円157,000148,000148,000144,000138,000135,000125,000
950万円163,000154,000154,000150,000144,000141,000131,000
975万円170,000160,000160,000157,000151,000147,000138,000
1000万円176,000166,000166,000163,000157,000153,000144,000
1100万円213,000194,000194,000191,000185,000181,000172,000
1200万円242,000239,000232,000229,000229,000219,000206,000
1300万円271,000271,000261,000258,000261,000248,000248,000
1400万円355,000355,000343,000339,000343,000277,000277,000
1500万円389,000389,000377,000373,000377,000361,000361,000
1600万円424,000424,000412,000408,000412,000396,000396,000
1700万円458,000458,000446,000442,000446,000430,000430,000
1800万円493,000493,000481,000477,000481,000465,000465,000
1900万円528,000528,000516,000512,000516,000500,000500,000
2000万円564,000564,000552,000548,000552,000536,000536,000
2100万円599,000599,000587,000583,000587,000571,000571,000
2200万円635,000635,000623,000619,000623,000607,000607,000
2300万円767,000767,000754,000749,000754,000642,000642,000
2400万円808,000808,000795,000790,000795,000776,000776,000
2500万円849,000849,000835,000830,000835,000817,000817,000

総務省の「 icon-external-link ふるさと納税ポータルサイト『ふるさと納税のしくみ』」より

ふるさと納税の寄付金控除を受けるには?

ふるさと納税の寄付金控除を受ける場合、「確定申告」を行うか、「ワンストップ特例制度」を利用するか、2つの方法があります。

  • 確定申告を行う
  • ワンストップ特例制度を利用する

確定申告で行う方法

確定申告で、ふるさと納税の寄付金控除を受けるには、以下の手順で行います。

  • ①寄付する特定の自治体を選択する
  • ②寄付を申し込んでから、所定の方法で寄付金を入金する
  • ③寄付した自治体から返礼品とともに申告に必要な「寄付金受領証明書」などが届く
  • ④寄付をした翌年の2月16日〜3月15日までの間に確定申告を行う

ワンストップ特例制度を利用する方法

ワンストップ特例制度とは 『確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受けられる制度』のことです。

ワンストップ特例制度を利用して、ふるさと納税の寄付金控除を受けるには、以下の手順で行います。

  • ①寄付する特定の自治体を選択する
  • ②寄付を申し込んでから、所定の方法で寄付金を入金する
  • ③ワンストップ特例制度の申請に必要な「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を入手する
  • ④寄付をした翌年1月10日までの必着で申告特例申請書を寄付をした自治体に送付する

「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」は、返礼品とともに届く場合がありますが、基本的には自分で総務省や自治体のサイトから入手します。

寄附金税額控除に係る申告特例申請書PDFファイル

確定申告の時期は、2月16日〜3月15日まで年が明けて期間がありますが、ワンストップ特例制度は翌年1月10日までに寄付金税額控除に係る申告特例申請書を送付する必要がありますので、年末に申し込む場合は、期日に注意しましょう。

ワンストップ特例制度の特徴

ワンストップ特例制度の特徴は、ふるさと納税の寄付金控除が所得税ではなく、住民税から全て控除されることです。

ワンストップ特例制度を利用する注意点としては、確定申告を行うときは、ワンストップ特例制度を利用することができない点です。

住宅ローン控除を受ける場合は、会社員であっても初年度に確定申告をする必要があり、個人事業主は、毎年確定申告を行うため、ワンストップ特例制度を利用することができません。

住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?

住宅ローン控除とふるさと納税を併用して、所得税や住民税から減税することは可能です。

ただし以下に該当する方は注意が必要です。

  • 住宅ローン控除額が高い
  • 住宅ローン控除額が所得税を超えて、住民税からの控除上限額に達している

住宅ローン控除額やふるさと納税の寄付金控除額の合計が、所得税と住民税を合わせた納税額よりも上回る場合は、全額控除しきれずにふるさと納税の寄付金の一部が単なる「寄付」になってしまう恐れがあります。

会社員で住宅ローン控除額が高い場合は、ワンストップ特例制度の利用を検討しましょう。

住宅ローン控除とふるさと納税併用の減税の流れ

住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合は、先ほども説明した「確定申告」を行うか、「ワンストップ特例制度」を利用するかの2つの方法があります。

確定申告で行う方法

確定申告を行う場合の住宅ローン控除とふるさと納税の併用は、以下の手順で減額されます。

  • ①所得控除としてふるさと納税の寄附金額を控除
  • ②課税総所得金額が確定
  • ③課税総所得金額を元に所得税の納税額が確定
  • ④所得税から住宅ローン控除額を控除
  • ⑤控除しきれなかった分は、住民税から控除
  • ⑥住民税からふるさと納税の寄附金額を控除

①所得控除としてふるさと納税の寄附金額を控除

確定申告の場合は、所得控除としてふるさと納税の寄付金額が控除されます。

例えば、総収入が500万円、寄付金額が5万円であれば、ふるさと納税控除後の所得は

5,000,000円-(50,000円-2,000円)=4,952,000円

となります。

ふるさと納税での所得控除が先に行われるため、所得が減少することで所得税や住民税が下がります。

もしも、住宅ローン控除が控除しきれなかった場合は、有効活用できないことになります。

②課税総所得金額が確定

課税総所得金額とは 『総所得金額から社会保険料控除や配偶者控除などの所得控除を差し引いた金額』のことです。

総所得金額-所得控除=課税総所得金額

会社員など給与所得者の場合は、源泉徴収された所得税などから還付されます。

③課税総所得金額を元に所得税の納税額が確定

会社員など給与所得者の所得税は、課税総所得金額に応じた税率と控除額から求められます。

課税総所得金額×税率ー控除額=所得税
確定申告の場合は、先に所得控除としてふるさと納税の寄付金額を控除しているため、所得税の納税額が少なくなっています。

④所得税から住宅ローン控除額を控除

所得税を求めたら、この所得税から住宅ローンの控除額が減税されます。

所得税ー住宅ローン控除額=控除後の所得税

⑤控除しきれなかった分は、住民税から控除

もしも、住宅ローン控除額が所得税よりも高い場合は、住民税からも控除できます。

ただし、住民税から控除できる上限額は、所得税の課税所得金額の7%(最大13万6500円)と定められています。

⑥住民税からふるさと納税の寄附金額を控除

住宅ローン控除額が住民税からも控除しきれなかった場合は、住民税(基本分・特例分)からふるさと納税額を控除します。

ワンストップ特例制度を利用する方法

ワンストップ特例制度を利用する場合の住宅ローン控除とふるさと納税の併用は、以下の手順で減額されます。

  • ①課税総所得金額が確定
  • ②課税総所得金額を元に所得税の納税額が確定
  • ③所得税から住宅ローン控除額を控除
  • ④控除しきれなかった分は、住民税から控除
  • ⑤住民税からふるさと納税の寄附金額を控除

確定申告を行う場合との違いは、「所得控除としてふるさと納税の寄附金額を控除されない」点です。

①②は、ふるさと納税の寄付金額が所得控除されずに、所得税の納税額が確定します。

③④⑤については、確定申告のときと同様に住宅ローン控除とふるさと納税の控除を行います。

医療費控除との併用は?

医療費控除とは 『一定額を超える年間の医療費を支払った場合に税金の控除が受けられる制度』のことです。

医療費控除は、所得控除として差し引かれるため、課税総所得金額が減少します。

課税総所得金額が減少すれば、その分の所得税と住民税が減額される仕組みです。

住宅ローン控除・医療費控除とふるさと納税が併用できるかについては可能ですが、医療費控除は年末調整では受けられませんので、確定申告で処理する必要があります。

ふるさと納税のワンストップ特例制度は、確定申告を行うと申請内容が向こうとなるため、併用する場合は、「確定申告で行う」の一択となります。

併用については、しっかりシミュレーションしないと損をすることがありますので、全てのパターンでシミュレーションを行い、一番得をする方法を選択しましょう。

まとめ

ここまで、住宅ローン減税とふるさと納税が併用できるかについて、わかりやすく説明してきました。

住宅ローン控除は、ワンストップ特例制度を利用すれば、ふるさと納税の控除額にほとんど影響を与えませんので、恩恵を受けることが多いです。

医療費控除も受ける場合は、確定申告の一択になりますので、ふるさと納税の控除上限額に注意しましょう。

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