住宅ローン控除は、住宅ローンを借りて、住宅を購入したときに利用できるものと思っている方も多いですが、リフォームでも住宅ローン控除を利用できます。
ただし、住宅ローンを利用できるリフォームには条件があり、その適用条件を満たしたリフォームの場合に、住宅ローン控除を受けられます。
こちらでは、住宅ローンを借りてリフォームしたときの、住宅ローン控除の適用条件や、控除額の計算方法について、わかりやすく解説していきます。
- リフォームで利用できる3つの減税制度
- 住宅ローン控除対象のリフォームの種類
- 住宅ローン控除額の計算方法
- 確定申告に必要な書類まとめ
- リフォームで利用できる減税制度の種類と違い
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)とは
- 住宅ローン控除対象のリフォームとは?
- リフォームで住宅ローン控除をうける適用条件
- ①自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること
- ②6つのリフォーム工事のうち、いずれかに該当すること
- ③その工事費用の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること
- ④住宅ローンの返済期間が10年以上
- ⑤住宅ローン控除の適用を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下
- ⑥増改築等の日から6か月以内に入居し、各年の12月31日まで引き続き住んでいること
- ⑦増改築等をした後の住宅の床面積が50㎡以上で、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供されること
- ⑧居住の用に供した年と、その前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと
- リフォームした場合の住宅ローン控除額の計算方法
- 住宅ローン控除の確定申告に必要な書類
- まとめ
リフォームで利用できる減税制度の種類と違い
住宅ローン控除は、所得税から控除できますが、リフォームで利用できる減税制度には大きく分けて、以下の3つがあります。
住宅ローン控除 | リフォームローン控除 | 投資型減税 | ||
---|---|---|---|---|
正式名称 | 住宅借入金等特別控除 | 特定増改築等住宅借入金等特別控除 | 住宅特定改修特別税額控除 | |
特徴 | 借入期間10年以上の住宅ローンを利用して、住宅の購入・建築・増改築(リフォーム)をした場合に、所得税・住民税から控除できる | 借入期間5年以上の住宅ローンを利用して、以下の住宅のリフォームをした場合に、所得税・住民税から控除できる ・省エネ | 住宅ローンの利用にかかわらず、以下の住宅のリフォームをした場合に、所得税・住民税から控除できる ・耐震 | |
リフォーム代 支払方法 | ローン利用 | ● | ● | ● |
現金利用 | × | × | ● | |
各年の 控除限度額 | 40万円 (認定住宅は50万円) | 12万5,000円 | 25万円 (太陽光発電設備工事が含まれる場合は35万円) | |
最大控除額 | 400万円 (認定住宅は500万円) | 62万5,000円 | 25万円 (太陽光発電設備工事が含まれる場合は35万円) | |
控除期間 | 10年間 | 5年間 | 1年間 |
この中で、以下の①~⑤のリフォームを考えていない、一般的なリフォームをする場合は、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を利用することになります。
- ①耐震リフォーム
- ②省エネリフォーム
- ③バリアフリーリフォーム
- ④同居対応リフォーム
- ⑤長期優良住宅化リフォーム
リフォームで利用できる住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の概要
住宅ローン控除 対象 | ・増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事 ・マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事 ・家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事 ・建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事 ・一定のバリアフリー改修工事 ・一定の省エネ改修工事 |
---|---|
住宅ローン控除 適用条件 | ①自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること ②次のいずれかの工事に該当すること 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事 マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事 家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事 建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事 一定のバリアフリー改修工事 一定の省エネ改修工事 ③その工事費用の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること ④住宅ローンの返済期間が10年以上 ⑤住宅ローン控除の適用を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下 ⑥増改築等の日から6か月以内に入居し、各年の12月31日まで引き続き住んでいること ⑦増改築等をした後の住宅の床面積が50㎡以上で、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供されること ⑧居住の用に供した年と、その前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと |
住宅ローン控除額の 計算方法 | 住宅ローン控除額=住宅ローン年末残高×1% |
各年の 控除限度額 | 40万円 ※認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)は50万円 |
最大控除額 | 400万円 ※認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)は500万円 |
控除期間 | 10年間 |
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)とは
住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローンを利用して、マイホームの新築・購入・増改築等をしたときに、『マイホームにかかった住宅ローンの年末残高を基に計算した金額を、所得税や住民税から控除できる制度』のことです。
通称では「住宅ローン控除」や「住宅ローン減税」と呼ばれます。
住宅ローン控除対象のリフォームとは?
住宅ローン控除対象のリフォームは、以下の①~⑤以外のリフォームなら、どれでも対象というわけではありません。
- ①耐震リフォーム
- ②省エネリフォーム
- ③バリアフリーリフォーム
- ④同居対応リフォーム
- ⑤長期優良住宅化リフォーム
住宅ローン控除の対象リフォームは、以下のいずれかのリフォームが対象となります。
- 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
- マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
- 家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
- 建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事
- 一定のバリアフリー改修工事
- 一定の省エネ改修工事
増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事とは 『住宅の壁、柱、床、はり、屋根または階段の、いずれか一つ以上について行う過半の修繕・模様替え』 のことです。
つまり、住宅の壁、柱、床、はり、屋根または階段の「主要構造部」の修繕・模様替えをする場合に住宅ローン控除を受けられます。
ただし、建物の構造上重要でない、以下の部分の修繕・模様替えは含まれませんので、注意しましょう。
- 間仕切壁
- 間柱
- 最下階の床
- 屋外階段
過半とは
過半とは 『半分を超えた』 という意味です。
建築基準法では、「大規模な修繕」「大規模の模様替え」を以下のように定義しています。
- 大規模な修繕・・・建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕
- 大規模の模様替え・・・建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替
つまり、住宅の壁、柱、床、はり、屋根または階段の「主要構造部」のいずれかを、半分を超えたリフォームした場合に、住宅ローン控除が適用されます。
マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事とは 『所有するマンション室内の床、階段または壁の、半分を超えた修繕・模様替え』 のことです。
所有しているマンションのリフォーム・リノベーションをする方は、こちらに該当します。
家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事とは 『建物の内部を大々的に修繕・模様替え』 のことです。
マンションなどの区分所有建物の場合は、区分所有する部分つまり、室内に限ります。
中古住宅や中古マンションを購入して、リフォーム・リノベーションをする方は、こちらに該当します。
建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事
建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事とは 『耐震改修工事』 のことです。
購入予定の中古住宅の中には、新耐震基準に満たない住宅(要耐震改修住宅)もあります。
リフォームをするにも、新耐震基準に適合させる耐震改修工事を行う必要があります。
一定のバリアフリー改修工事
一定のバリアフリー改修工事とは 『トイレや浴室に手すりをつけたり、車椅子が容易に移動できるよう通路を拡張したり、不便さを解消するための改修工事』 のことです。
バリアフリー改修工事をした場合は、リフォームローン控除(特定増改築等住宅借入金等特別控除)や投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)も受けられる可能性もあります。
その場合は、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」「リフォームローン控除(特定増改築等住宅借入金等特別控除)」「投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)」のいずれかを選択できます。
一定の省エネ改修工事
一定の省エネ改修工事とは 『窓の改修工事や床・壁・天井の断熱工事など省エネ性能を向上させるための改修工事』 のことです。
省エネ改修工事をした場合も、リフォームローン控除(特定増改築等住宅借入金等特別控除)や投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)も受けられる可能性もあります。
その場合は、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」「リフォームローン控除(特定増改築等住宅借入金等特別控除)」「投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)」のいずれかを選択できます。
こちらのいずれかのリフォームをした場合に、住宅ローン控除を受けられますが、それ以外にもいくつか住宅ローン控除を受けるための適用条件がありますので、次はそちらを解説していきます。
リフォームで住宅ローン控除をうける適用条件
リフォームをした場合の、住宅ローン控除の適用条件は、以下の8つです。
- ①自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること
- ②次のいずれかの工事に該当すること
- 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
- マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
- 家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
- 建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事
- 一定のバリアフリー改修工事
- 一定の省エネ改修工事
- ③その工事費用の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること
- ④住宅ローンの返済期間が10年以上
- ⑤住宅ローン控除の適用を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下
- ⑥増改築等の日から6か月以内に入居し、各年の12月31日まで引き続き住んでいること
- ⑦増改築等をした後の住宅の床面積が50㎡以上で、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供されること
- ⑧居住の用に供した年と、その前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと
①自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること
まず、リフォームで住宅ローン控除を受ける場合は、自分が所有している住宅で、かつ、自分が住んでいる住宅をリフォームすることが条件です。
親所有の住宅リフォームは注意
例えば、親が所有している住宅をリフォームする場合は、たとえ一緒に住んでいても住宅ローン控除の対象外となります。
しかも、親が所有している住宅をリフォームすると、リフォーム代が贈与とみなされるため、贈与税が発生します。
②6つのリフォーム工事のうち、いずれかに該当すること
こちらの条件は、「住宅ローン控除の対象リフォーム」で解説した、以下のリフォーム工事を行う場合に、住宅ローン控除を利用できます。
- 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
- マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
- 家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
- 建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事
- 一定のバリアフリー改修工事
- 一定の省エネ改修工事