鉄骨造注文住宅の費用相場と鉄骨造のメリット・デメリット

注文住宅を建てる場合に構造は木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造に分類されますが、新築住宅で一番多く建てられているのが木造住宅です。その次に多いのが鉄骨造住宅で、一番高いイメージがある鉄骨コンクリート造住宅が3番目になります。

構造新築戸建て戸数
木造227,057
鉄骨造33,370
鉄筋コンクリート造2,030
鉄骨鉄筋コンクリート造42

国土交通省「住宅着工統計(平成29年度)」より

木造住宅は新築戸建ての中で8割以上の方が選択されますが、耐震性に優れた鉄骨造住宅を選択される方も少なくありません。

こちらでは、鉄骨造のメリット・デメリットや鉄骨造で注文住宅を建てる場合の建築費用の相場について詳しく解説していきます。

鉄骨造住宅とは

鉄骨造はS造(Steel)とも呼ばれており、主に柱や梁などの主要構造部に鉄骨を使用した構造のことをいいます。木造の柱や梁が鉄骨になったといったイメージです。

また鉄骨造には、以下の2種類があります。

  • 重量鉄骨造
  • 軽量鉄骨造

重量鉄骨造

重量鉄骨造は、鋼材の厚みが6mm以上のものを使った「重量鉄骨ラーメン構造」のことをいい、太くて大きな柱や梁を使うことで強度をだしています。

ラーメン構造は柱と梁で建物の重さを支える工法で、主に高層マンションやビルなど大規模建築物に利用されます。

柱と梁を剛接合して一体的に固定してるため柱が数本あるだけで、広いフロアを実現することができます。しかし、重量のある鉄骨を使用するので建物の重量が重く、地盤改良をする必要もでてきます。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造は、鋼材の厚みが6mm未満のものを使った「ブレーズ構造」のことをいい、細い鉄骨の本数を増やし筋交いを使うことで強度をだしています。

主に一般住宅や小規模建築物に利用されており、ハウスメーカーの鉄骨造はこの軽量鉄骨造住宅が多いです。

鉄骨造住宅のメリット・デメリット

鉄骨造の種類が分かったところで次は鉄骨造住宅のメリット・デメリットについて説明します。注文住宅で鉄骨造を検討されている方はメリット・デメリットを把握した上でプランを考えましょう。

メリット

鉄骨造住宅のメリットには以下のようなことが挙げられます。

  • 耐震性が高い
  • 広い空間を作ることができる
  • 工期を短縮できる

耐震性が高い

鉄骨造住宅は骨組みに鉄骨を利用しており、鉄骨の粘りによって地震に耐える構造となっています。

地震時には、鉄骨造住宅は揺れますが揺れることで地震のエネルギーを吸収します。そのため、鉄骨造住宅は一気に倒壊することはないので、倒壊したとしてもそれまでに時間がかかる傾向にあります。

広い空間を作ることができる

重量鉄骨造の場合、柱と梁を剛接合して一体的に固定してるため強度が高く、柱と柱の距離を大きくとることができます。そのため間仕切壁を設けなくても広い空間を作ることができます。

工期を短縮できる

鉄骨の構造部材は工場で加工されたものを組み立てるため、RC造と比較しても工期を短くすることができるメリットがあります。

デメリット

鉄骨造住宅のデメリットには以下のようなことが挙げられます。

  • 熱伝導率が高い

熱伝導率が高い

鉄は木に比べてとても熱伝導率が高いです。熱伝導率とは、熱の伝わりやすいさを表したもので、鉄骨造はよく夏に厚く冬に寒いと言われています。

鉄骨造だから断熱性がないというわけではなく、断熱性能を確保するために対策を施せば鉄骨造であっても断熱性の高い家を作ることはできます。

ただし、断熱方法によっては、コストも工期もかかることがありますので、予算に合わせたものを選択するようにしましょう。

鉄骨造住宅の費用相場

鉄骨造住宅のメリット・デメリットを説明しましたが、実際にS造の注文住宅を建てる方が一番気になるのが、鉄骨造住宅の費用相場だと思います。

こちらでは、鉄骨造住宅の費用相場をまとめるに当たって国土交通省が公開している「住宅着工統計」のデータを参考にしています。

鉄骨造住宅
都道府県戸数(戸)延床面積(㎡)工事費予定額(万円)工事費坪単価(万円/坪)
北海道563125.73,04179.8
青森県115138.13,40381.3
岩手県222122.42,94979.5
宮城県700130.23,15379.9
秋田県126124.93,06781.0
山形県162135.83,33981.1
福島県667132.23,37684.3
茨城県1,003124.92,96478.3
栃木県651123.42,90877.8
群馬県775123.22,96779.5
埼玉県1,870127.43,38287.6
千葉県1,657126.43,30586.3
東京都2,089134.84,142101.4
神奈川県2,079127.83,73696.5
新潟県277131.33,14379.0
富山県82145.73,64482.5
石川県153138.23,25877.8
福井県114137.63,43182.3
山梨県349128.23,05478.6
長野県575126.02,99078.3
岐阜県827131.93,37284.4
静岡県1,989127.53,22283.4
愛知県4,621129.33,31284.5
三重県758124.43,12683.0
滋賀県569127.13,32186.2
京都府478132.13,40185.0
大阪府1,617137.43,42082.1
兵庫県1,319130.83,34884.4
奈良県423127.83,03778.4
和歌山県353123.83,05781.5
鳥取県88127.42,86474.2
島根県46123.22,88077.1
岡山県765123.93,00680.0
広島県775123.33,14584.1
山口県471117.92,97583.2
徳島県151141.93,06771.3
香川県226133.12,95773.3
愛媛県297130.53,04477.0
高知県115134.63,19478.3
福岡県1,195126.93,06079.6
佐賀県219131.63,09177.5
長崎県256127.12,95776.8
熊本県689121.02,82377.0
大分県295124.83,16483.7
宮崎県200123.62,88477.0
鹿児島県258119.82,72875.2
沖縄県141103.82,43877.5
全国33,370128.43,28484.4
都道府県戸数(戸)延床面積(㎡)工事費予定額(万円)工事費坪単価(万円/坪)

国土交通省「住宅着工統計(平成29年度)」より

こちらは、住宅着工統計の新築住宅一戸建てのみを抽出し都道府県別にまとめた鉄骨造の費用相場データになります。

鉄骨造住宅の全国平均工事費相場は3,284万円となっています。木造住宅の全国平均工事費相場は2,138万円なので、鉄骨造は木造住宅より3,284万円-2,138万円=1,146万円も費用相場が高いことが分かります。

都道府県戸数(戸)延床面積(㎡)工事費予定額(万円)工事費坪単価(万円/坪)
首都圏7,695129.13,64193.1
近畿圏4,759129.83,26482.9
東海圏8,195128.33,24583.5
その他地域12,721127.93,06078.9
全国33,370128.43,28484.4

国土交通省「住宅着工統計(平成29年度)」より

こちらは、三大都市圏とその他の地域ごとにまとめたデータで地域区分は以下の通りです。

【三大都市圏】
首都圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県
近畿圏:大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県
東海圏:愛知県、岐阜県、静岡県、三重県
その他地域:上記以外の地域

こちらを確認すると三大都市圏では鉄骨造住宅が全体の約62%を占め、特に愛知県で多くの鉄骨造住宅が建てられていることが分かります。

都市部では、木造住宅の建築が制限される防火地域も多いことから鉄骨造あるいはRC造で注文住宅を建てられる方が多いのではないかと考えられます。

防火地域とは、万が一火災が起きたときに他へ延焼しないように建物の構造を厳しく制限したもので、都市計画法で定められたものです。防火地域の他にも準防火地域・法22条区域というものがあります。

都道府県別の鉄骨造住宅の坪単価相場は71.3万円/坪~101.4万円/坪となります。

鉄骨造住宅を提案しているハウスメーカー

鉄骨造のメリット・デメリットや鉄骨造の相場を把握したところで次は実際に鉄骨造住宅を提案しているハウスメーカーをいくつか紹介します。

ワイビルド

Screenshot of ybuild.jp

ハウスメーカーの多くは軽量鉄骨造を採用していますが、株式会社ワイビルドは重量鉄骨工法を採用したデザイン住宅を提供しています。

重量鉄骨造は軽量鉄骨造よりもコストがかかりますが、あえてそうしているのは安全で安心した住まいを提供するためです。

また、東京など都市部の狭小地は3階建ての注文住宅がよく建てられますが、都市型鉄骨3階建て住宅として「アーバンⅢセレクト」というセミオーダーの鉄骨造住宅商品も展開しています。

へーベルハウス

Screenshot of www.asahi-kasei.co.jp

へーベルハウスの鉄骨造住宅は、強靭な柱だけで立ち上がる「銃鉄・システムラーメン構造」を採用しています。

重量鉄骨の柱と梁で構成されており、地震エネルギーを吸収して受け流す「制震」を工業化住宅で初めて標準仕様にしたのもヘーベルハウスです。

また、外壁の脱落や損傷を抑えるためにハイパワード制震ALC構造では、力を外壁に伝わらないようにするロッキング工法を採用しています。

積水ハウス

Screenshot of www.sekisuihouse.com

積水ハウスの鉄骨造住宅は、設計の自由度の高さと広々とした空間を作ることができる独自のダイナミックフレーム・システムを採用しています。また、地震エネルギーを吸収する「シーカス」システムや地震エネルギーを建物に伝えにくくする免震システムで人命の保護や建物の保全に力を入れています。

ハウスメーカーでは独自のコンセプトや技術力でそれぞれ特徴のある鉄骨造住宅を提案していますが、注文住宅の工法によってプランや費用も様々です。

そういった場合は、1社ごとに相談するよりは鉄骨造住宅の要望と予算を伝えて複数のハウスメーカーに同時に提案してもらうとプランの比較もしやすくなります。

各ハウスメーカーが提案してきたプランを見て、どういったプランが暮らしやすいか、満足して暮らすことができるかを比較することができますので、その中でいいと思ったものがあればそのハウスメーカーと話を進めましょう。

また、複数のハウスメーカーに依頼するのも大変だという方もいると思いますが、112万人が利用しているハウスメーカー一括プラン提案サービスというのもあります。

こちらのサービスは要望を入力し一括送信することで複数のハウスメーカーからプランを提案してもらえます。

また、間取りのプランだけでなく資金計画や土地探しまでトータルでサポートしてくれるので、まずは情報を集めたいという方にもおすすめです。

ハウスメーカーを選んだら見積書は必ずチェック


ハウスメーカーへ鉄骨造住宅プラン一括申請することで、プラン内容などを比較することができます。複数のハウスメーカーを検討して1社のハウスメーカーを決定したら、建築材料や設備を具体的にどういったものにするか詳細をつめて本設計に移り、正式な見積書を作成してもらいます。

そして提出された見積書は必ず疑ってチェックしてください。見積書を細かくチェックすれば、提出された見積金額より下がる可能性もあります。どのように見積書が作られているか見積書の裏側については「ハウスメーカーや工務店の見積書は絶対に信じてはいけない」で詳しく解説していますので、ご確認ください。

また、見積書を詳しくチェックしたことで、見積金額が下がった事例も「400万円の見積金額から200万円まで減額させた見積査定の全貌公開」で紹介していますので、こちらも合わせて参考にしてください。

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ハウスメーカーの鉄骨造住宅一括プラン提案サービスを利用したけど、内容や見積書をどう判断すればいいか分からない方は無料で相談受け付けています。見積書査定のご依頼も承っておりますので、気軽にご相談ください。

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