「家を持つならマンションと一戸建て住宅どっちがいいか?」「メリットやデメリットを比較してもよく分からない」と悩んでいませんか?
メリットとデメリットは、どのライフステージに立っているかで感じる強さが違います。
どちらがいいか悩んでいる人は、住生活のライフステージごとに考えると選択しやすいです。
資産価値や費用面からどちらが得かで決める方もいますが、何十年も住み続ける住まいだからこそ、満足できる環境で選ぶと失敗しません。
こちらでは、マンションと戸建てでどっちがいいか悩んでいる方、マンションと戸建てのメリット・デメリットを知りたい方向けに、どちらがアナタにあっているか選択できるよう要点をまとめています。
- ライフステージごとの考え方
- マンション派と戸建て派が特に重視するメリット
- マンションと戸建ての比較
- マンションと戸建てに向いているのは、こんな人まとめ
ライフステージで考える
住生活のライフステージとは、「就職」「結婚」「出産・育児」「子供の独立」「退職」など、 『生活環境を段階的に分けること』です。
出産で家族が増えたり、子供が独立したりと、ライフステージごとに家族構成も変わってきます。
- 就職・・・1人(独身)あるいは2人(恋人など)
- 結婚・・・2人(夫婦)
- 出産・育児・・・3人~(夫婦+子ども)
- 子供の独立・・・2人(夫婦)
- 退職・・・1人(独身)あるいは2人(夫婦)
住生活のライフステージでは、どのステージに立っているかで、生活環境で重視するポイントと家族構成が違います。
マンションと戸建てどちらがいいか悩んでいる方は、現在と将来のライフステージで重視するポイントがどちらに適しているのかを確認していきましょう。
マンションを選ぶ人が特に重視するメリット
マンションを選んだ人が特に重視するメリットとして挙げるのがこちらの4つです。
- 利便性が高い(立地のよさ)
- セキュリティが高い(防犯性)
- 防災力が強い
- 資産価値が高い
利便性が高い(立地のよさ)
マンションは、一戸建て住宅と比較して、最寄り駅から通勤できる徒歩圏内の場所に建てられることが多いです。都市部では駅近くに商業施設もあり、生活しやすい環境が整っています。
駅周辺の土地は坪単価が高く、戸建てなら手が出ないことが多いですが、マンションなら駅周辺でも比較的簡単に買うことができます。
車をもっていないことや通勤のしやすさ、周辺施設の充実度から、特に利便性を重視している人は、マンション派が多いです。
■ 就職・結婚、子供の独立
通勤のしやすさ、周辺施設の充実度(スーパー・コンビニなど)
■ 出産・育児
通勤のしやすさ、周辺施設の充実度、子育て環境のよさ
■ 退職
通院のしやすさ、周辺施設の充実度(病院など)
・通勤のしやすさや周辺施設の充実度からマンションにメリットを感じる
セキュリティが高い(防犯性)
マンションは、建物入口のオートロックや防犯カメラ・テレビモニター付きインターホンが設置されており、建物内への侵入が難しいです。
最近では、エレベーターや駐輪場にオートロックが付いているマンションや、駐車場にゲートを設けて盗難・いたずら防止対策がされているマンションも珍しくありません。
防犯意識の高い人や独身女性は、特にマンションを選ぶ傾向が強いです。
■ 就職・結婚、子供の独立、退職
不法侵入、窃盗
■ 出産・育児
不法侵入、窃盗、子育の安全
■ 女性
性犯罪、宅配偽装犯罪(宅配ボックス設置が有効)
・防犯意識の高い人や独身女性は防犯面からマンションにメリットを感じる
防災力が強い
地震や火災など建物に被害を及ぼす災害が起こったときに、マンションは防災力が強いので安心だとメリットを感じる方が多いです。
理由としてハード面では「耐火性・耐震性が高いこと」、ソフト面では「防災備蓄や防災マニュアルが作成されていること」が挙げられます。
耐火性
マンションの多くは、木造と比較しても耐火性に優れているコンクリートのRC造で建設されています。
RC造のマンションは、耐火性が高いことから火災のリスクが低いと判断され、火災保険料に影響する構造級別でも一番保険料が安いM構造に分類されています。
耐震性
建物の構造形式には「耐震構造」「制震構造」「免震構造」の3つがあり、マンションでは、地震エネルギーを抑える「制震構造」や地震エネルギーを建物に伝わらないようにする「免震構造」が多いです。
住宅用の免震システムもいくつか販売されていますが、とても高価なことがデメリットで、ほとんどの戸建てでは、耐震構造あるいは制震ダンパーをつけた制震構造になります。
RC造は頑丈なイメージがありますが、建物は軽いほうが耐震性は高いので木造が劣るということではなく、木造戸建て住宅でも構造(工法)を検討して耐震性能を強化できます。
しかし、構造の耐用年数では、木造よりもRC造のほうが長いため、安心というイメージが根強いです。
防災備蓄(防災倉庫)や防災マニュアル
有事の際に必要な防災用品を備蓄した防災倉庫を設けるところが多くなっています。
それ以外にもマンションの管理組合が中心となって、防災訓練の実施や防災マニュアルの作成などソフト面でも防災力が強い傾向にあります。
・マンションはハード・ソフト面ともに防災力が強い
・ライフステージに関係なく強い防災力を求めるのは共通
資産価値が高い
資産価値ではRC造と木造の耐用年数で比較されがちですが、資産価値は利便性とマンション管理が重要です。
中古マンション購入予定者は、長く快適な生活を期待しているので「管理が行き届いているか、利便性がいいか」を重視します。
将来ライフステージに合わせて売却や賃貸を考える人ほど、売却や賃貸運用ができる資産価値の高いマンションを求める傾向にあります。
・ライフステージの変化で売却
・賃貸運営を考えている人ほど資産価値を重視する傾向にある
一戸建て住宅を選ぶ人が特に重視するメリット
一戸建て住宅は、結婚や出産を機に購入する方が多いのが特徴で、特に重視するメリットとして挙げるのがこちらの4つです。
- 生活環境(教育環境)の良さ
- 他人から干渉されない
- 住まいの広さ
- ランニングコストが比較的かからない
生活環境(教育環境)の良さ
マンションを選んだ人が特に重視するメリットとして「利便性が高い」ことを挙げていましたが、戸建て住宅では「生活環境の良さ」を重視する方が多いです。
現に私も家購入を考えたときに、利便性よりも子どものために校区内であることや治安のよさなどを条件の挙げていました。
立地を優先させると坪単価の高い土地はなかなか手が出ないので、校区内で少し外れた安い土地に戸建てを建てる傾向にあります。
■ 就職・結婚
趣味を満喫したり、ペットを飼ったり、自由気ままな生活を送りたい
■ 出産・育児
子ども達が安全で快適に暮らせる環境で育てたい
■ 子供の独立、退職
子ども達も独立して穏やかな環境でのんびり暮らしたい
他人に干渉されない
一軒家の戸建てでは、ご近所付き合いはあるものの、マンションのような管理組合もなく、敷地内では他人に干渉されることがありません。
最近のマンションは、災害時の共助も考えた住人同士のコミュニティを重視する傾向にあり、あまり他人に干渉されたくない人は、一軒家の戸建てを選ぶことが多いです。
・ライフステージに関係なく他人に干渉されたくない人は、戸建てが多い
住まいの広さ
リクルート住まい研究所の住宅購入検討者調査データでは、希望する広さはマンションで3LDK、一戸建てで4LDKと回答した方が最も多く、戸建てを選ぶ方は、永住思考が高いため広さを重視する傾向にあります。
戸建ては場所によって3階建ても可能で、敷地が広ければ建築面積を広くとれるのがメリットですが、建売住宅の場合は比較的小さめの物件が多いです。
マンションでは、ラウンジやゲストルーム、キッズルームなどを設けているところもあり、共用施設の充実を考えると広さはマンションのデメリットといえない部分もあります。
■ 出産・育児
子ども部屋など個室を多く設けたい
・共用施設の充実度によってはマンションのデメリットにはならない
・広さを特に重視するのはファミリー世帯が多い
ランニングコストが比較的かからない
共有のマンションでは、住宅ローン以外に管理費や修繕積立金、駐車場代といった月々のランニングコストがかかりますが、一軒家の戸建てではそういった費用がかかりません。
戸建てでも屋根や外壁の塗り替え、防水処理といったメンテナンスが必要ですが、マンションのように毎月の強制徴収がないため、計画的に積み立てるなどランニングコストをコントロールできるのがメリットです。
・一軒家の戸建てはランニングコストをコントロールできる
マンションと一戸建て住宅の比較
ここまで、マンションと一戸建てのメリットで特に感じるポイントを説明しましたが、それ以外にも比較から見えるメリット・デメリットがいくつもあります。
- 立地のよい場所が多く利便性が高い
- マンション全体でのセキュリティが高い
- 有事の際の防災力が強い
- 売却・賃貸運営など資産価値が高い
- 管理会社へ委託するので建物の管理が楽
- 設備や共用設備が充実している
- 高層マンションでは眺めがいい
- 利便性が高く手ごろな価格で購入できる
- 管理費や修繕積立金、駐車場代がかかる
- 修繕積立金が将来値上がりする可能性あり
- 上下左右からの音のトラブルに注意が必要
- ワンフロアで間取りに制限がある
- ペットの飼育に制限がある(飼えない)
- 駐車場までが遠い
- 管理組合の活動に時間を費やす
- 独立性が高く他人に干渉されない
- 階数を増やせば住まいを広くできる
- 管理費や修繕積立金、駐車場代が不要
- ランニングコストをコントロールできる
- 庭やガレージがもてる
- 増改築が自由にできる
- 窓が設置しやすく通風・採光がとれる
- ペットが飼える
- 利便性を考えると土地代が高い
- 建物の修繕費にまとまった費用が必要
- 空き巣や放火など防犯面の意識が必要
- 住宅密集地の場合、騒音に注意
断熱性・気密性
建物の性能として「断熱性・気密性」を比較される方もいますが、結論から言えば断熱工法や換気が重要であってマンション・戸建て住宅どちらが性能がいいかではありません。
高気密・高断熱をウリにしている施工会社もあるほど、戸建てでも実現できます。
断熱性・気密性を気にする方は、断熱方向や換気がどうなっているかを確認しましょう。
防音性
マンションは上下階の音が気になりますが、遮音性能の高いフローリングにしたり防音性が高まっています。
戸建て住宅では、子どもが走り回っても下の階に迷惑をかける心配がありませんが、窓が多い家は外部に音がもれるので、苦情がこないよう注意が必要です。
・戸建ては窓からの音もれに注意が必要
マンションのメリット、一戸建てのデメリット
建物の管理
マンションの場合は、共用部分のメンテナンスなど、建物管理を管理会社へ委託するので、その煩わしさがありません。
夜間は警備員の見回りや24時間体制で有人管理を行うマンションもあり、セキュリティーの高さがマンションのメリットです。
戸建ての場合は、建物管理や防犯対策などすべて自分で管理しなければいけないのがデメリットでもあります。
設備
マンションの場合は、ディスポーザーや24時間ごみ置き場・宅配ボックスなど設備が充実しています。ただし、不必要と感じる設備があれば、無駄なコストでデメリットになることも。
戸建ての場合でも、ディスポーザーや宅配ボックス、太陽光発電などの取り付けも可能ですが、その分費用がかかるので予算オーバー時には省く対象になることも。
・戸建て住宅でも設備の取り付けは可能だが費用がかかる
眺望がいい
マンションは、上層階へいくほど眺望が素晴らしいです。周りに高い建物がなければ、人の目を気にする必要がないので、開放的な空間で暮らせるのがメリットです。
住宅密集地など近隣との距離が近い戸建て住宅では、丸見えで窓が開けられない場合もあるので、注文住宅で建てるときは、設計段階から考慮する必要があります。
・近隣との距離が近い戸建てでは、眺望は期待できない
利便性が高く手ごろな価格
駅の近くや利便性のよい立地は坪単価も高く簡単に手が出ないですが、マンションの場合は、一戸建て住宅と比較して手ごろな価格で購入できるのがメリットです。
ただし、利便性より生活環境を重視している方は、少し外れた坪単価が安い土地で広い家が建てられることにメリットを感じることが多いです。
・利便性を重視しなければ、価格が安い土地に広い家を建てられる
一戸建て住宅のメリット、マンションのデメリット
間取りの自由度(デザイン)
注文住宅は、間取りを自由に決められるため自由度がとても高いです。マンションはワンフロアで間取りのパターンはある程度決まっていますが、家族の気配を感じやすいのが特徴です。
ただし、建売住宅を購入する場合は、決まった間取りの物件から選ぶため自由度はありません。
・マンションの間取りはパターンが決まっているが、家族の気配を感じやすい
通風・採光
マンションと比較すると戸建ては窓を設置しやすいため、通風や採光に優れています。
マンションのほとんどは両隣が住戸で戸建てほどの採光は取れませんが、中高層階のマンションでは開放的に窓を開けられるため採光がとりやすいメリットもあります。
・中高層階のマンションは窓を開放でき採光がとりやすい
庭がある
一戸建て住宅と言えばお庭です。庭にウッドデッキを設置してBBQやお茶を楽しんだり、子供の遊び場としても利用できるため、ファミリー世帯は特に庭を重視します。
それ以外にも、ガーデニングや家庭菜園、DIY作業など趣味を楽しむ場として戸建て住宅を選ぶ方も多いです。
・趣味を楽しむ場として庭付き一戸建てを選ぶシニア世帯・趣味人が多い
駐車場の利便性
戸建て住宅では、敷地に余裕があれば複数台駐車場として利用できますが、マンションでは、台数に制限があったり毎月の駐車場代がかかるのがデメリットです。
それ以外にもマンションの規模が大きいほど駐車場までの距離が長くなるので雨の日や買い物が大変です。
その点、戸建ては玄関からすぐ近くに駐車することが多いので、駐車場の利便性が高いのがメリットです。