今やアウトドアリビングとしても大人気のウッドデッキですが、一番悩むのがウッドデッキの材料選びです。
樹脂木のウッドデッキであれば、耐久性も高くメンテナンスも不要なので最後に価格で選ぶ方が多いですが、天然木にこだわる場合は、天然木の特徴を理解していないと作った後に後悔することもあります。
もしも、樹脂木も候補として考えている方は「樹脂木と天然木のウッドデッキはどっちがいい?比較で分かる選ぶポイント」で樹脂木と天然木のメリット・デメリットを詳しくまとめていますので、改めて確認しましょう。
すでに、天然木でウッドデッキ作りを考えている方、天然木の種類や特徴を知りたい方は、以下の3つの項目で天然木についてまとめていますので、読み進めてください。
- 天然木のメリット・デメリット
- 天然木を比較するときに役立つ5つのポイント
- 天然木材の特徴(ハードウッド・ソフトウッド)
天然木のメリット・デメリット
天然木は、針葉樹の柔らかい木材「ソフトウッド」と広葉樹の堅くて耐久性のある木材「ハードウッド」の2種類に分かれますが、それぞれのメリット・デメリットをまとめるとこちらになります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
天然木 ソフトウッド | 本物の素材で風合いや手触りがある | 腐食しやすくシロアリに弱い |
柔らかいので加工がしやすい | 反りやゆがみ・ささくれ・割れが出る | |
価格が安い | メンテナンスが必要 | |
天然木 ハードウッド | 本物の素材で風合いや手触りがある | 硬いので加工がしにくい |
シロアリに強く耐久性の高い素材もある | ささくれ・割れが出る | |
メンテナンスが不要な木材もある | 価格が高い |
ソフトウッド
ソフトウッドの特徴としては、とにかく価格が安いことです。コメリ・カインズ・コーナンといったホームセンターで販売されている木材はほとんどSPF材というソフトウッドです。
価格が安く加工しやすいためDIYでよく使われる木材ですが、デメリットとしては、外部で使用すると数年で腐ってしまうため、長期利用には不向きな木材です。
ただし、ソフトウッドの中でも「サイプレス」「ウエスタンレッドシダー」は10年以上持つ木材ですので、10年程度の利用で考えているのであれば選択肢の一つです。
・数年で木材が腐ってしまうので、こまめなメンテナンスが必要
・10年以上持つソフトウッドもある
ハードウッド
ハードウッドの特徴としては、耐用年数が長いことです。20年、25年以上持ち、比重がとても重く虫を内部に寄せ付けませんので、簡単に腐りません。
デメリットとしては、価格が高いことやとても堅いので素人では加工が難しいことです。DIYでウッドデッキを作る場合は、なるべく加工しなくて済むようなプランを考えましょう。
・とても堅く比重も重いため、加工するには大変な木材
・なるべく加工しなくても済むようなプランを考える
天然木を比較するときに役立つ5つのポイント
ソフトウッドとハードウッドのメリット・デメリットを説明しましたが、これだけでどの木材がいいのか決めるのか難しいですよね。
そんなときは、以下の5つのポイントから考えてみましょう。
- 耐久性
- 経年変化
- メンテナンス
- 価格
- 表面の見た目や状態
耐久性はソフトウッドよりハードウッド
ウッドデッキ作りで考えなければいけないのが、どれぐらい利用するのかということです。安く作りたいだけで安価なソフトウッドで作ると数年で腐ってお金を無駄にします。
10年~15年程度利用予定であればソフトウッドの「ウエスタンレッドシダー」ならメンテナンスすれば持ちますし、20年以上利用を考えているのなら、ハードウッドを選択したほうが間違いありません。
どれぐらい利用するかについては、どう使うのかで決まってきますので、使い方を決めていない方はどう使うのか最初に考えましょう。
・10年~15年程度ならソフトウッドの「ウエスタンレッドシダー」、20年以上ならハードウッド
・使う年数は使い方で決まる
ウッドデッキの使い方が決まっていない方へ

天然木は少なからず反りや曲がりが発生する
「経年変化」という点で比べてみると、まず色について天然木は2~3年でグレー色に変化します。時間が経過すると色が抜けて銀白化していきますが、色があせる原因は紫外線の光によってダメージを受けるためです。
天然木は、水分の蒸発・乾燥によって収縮が起こり、反りや曲がりが発生するのも特徴の一つです。反りや曲がりが少ない木材もありますが、天然木は少なからず反りや曲がりが発生すると認識しましょう。
経年変化はどの木材でも共通して起こることなので、どれぐらいの度合いで許容できるか考えましょう。
・天然木は少なからず反りや曲がりが発生する
・経年変化はどの木材でも共通で、どのぐらいの度合いを許容できるかで考える
ソフトウッドはメンテナンスが必要
ソフトウッドは、腐りやすいので定期的にメンテナンスが必要です。これは塗装をして見た目をきれいにすることではなく、木材が腐る原因になる腐朽菌やカビ、コケが発生しにくい防腐処理をすることです。
腐朽菌は水分がある場所で繁殖するので、風通しがよい作りにするのもポイントです。
ハードウッドはメンテナンスフリーと言われていますが、腐りにくいだけで腐らないわけではありません。ソフトウッドは腐りやすいので定期的なメンテナンスが必要であることを認識しましょう。
・ハードウッドは腐りにくいだけで腐らないわけではない
・ソフトウッドは腐りやすいので定期的なメンテナンスが必要
ハードウッドよりソフトウッドの方が安い
価格だけを見るとソフトウッドの方がハードウッドよりかなり安いですが、ソフトウッドは木材保護塗料の塗り替えといったメンテナンスが必要になるためランニングコストが発生します。
ランニングコストを含めて考えるとどれだけ使用するかにもよりますが、決して格安というわけではありません。逆にハードウッドはメンテナンスフリーの材料もあるため、購入時に費用が高くても長期的に見ると安くなることも。
ハードウッドの中でも価格が安いものもあるので、価格で選ぶのであれば、利用年数からどれぐらい費用がかかるのか計算しましょう。
・ソフトウッドはランニングコストがかかる
・トータル金額は利用年数によって変わる
表面の見た目や状態
表面の見た目や状態、好みと使い方に大きく影響します。
たとえば、素足でウッドデッキを使いたいのであれば、反りやささくれが少ない木材を選ぶ必要があり、逆に反りやささくれが多い木材を選ぶと失敗します。
見た目も木と分かる節がいいという人もいれば、節がない高級のある木目がいいという人もいます。これも木材によって特徴が違いますので、表面の見た目や状態から選ぶのも重要なポイントです。
・表面の見た目や状態から選ぶのも重要なポイント
天然木材の特徴
天然木を比較するときに役立つ5つのポイントを理解したところで、それぞれの天然木材の特徴を見ていきます。「これいいな」と思ったときは、5つのポイントをそれぞれ考えて選択しましょう。
ウッドデッキ材料の一覧
ウッドデッキの材料にはそれぞれ特徴がありますが、特徴を一覧にまとめると以下になります。
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イペ(ハードウッド)
イペは、ハードウッドの中でも高価な木材ですが、ウリンと並び耐久性にすぐれたウッドデッキ材です。
東京アクアラインの海ほたるや横浜大桟橋といった公共事業や大型施設での施工実績は、ハードウッドの中でも群を抜いています。
樹種名 | イペ |
---|---|
別名 | パオオペ、ラパチョ |
分類 | ハードウッド |
耐用年数 | 25年以上 |
材色 | 黄茶褐色 |
比重(kg/m3) | 0.95~1.12 |
加工性 | ★★ |
耐久性 | ★★★★★ |
防虫性 | ★★★★ |
アクの出 | 多い |
特徴
- 高級感のある美しい木目
- 色目にばらつきがある
- 耐朽性が高く耐用年数は25年以上
- 水に強い
- 加工時にかぶれる可能性がある
- 価格が割高
表面
イペの表面は節がほとんどなく高級感のある肌触りと美しい木目で、とても滑らかな綺麗な仕上がりです。
日本ではウッドデッキの材料として利用されることが多いですが、海外では屋内の高級無垢フローリングとしてもよく利用されます。
色合い
心材は緑褐色、辺材は淡褐色といったように色が混在しているのも特徴の1つで、空気に触れて徐々に黄茶褐色に変わっていきます。
1本1本色目のばらつきが結構ありますが、それを天然素材の色合いと捉えるかたも多くとても人気があります。
耐朽性が高い
木肌が緻密で比重も重いため磨耗にも強く、ハードウッドの中でも反りやひび割れが少ない耐朽性に優れた材料です。耐用年数は25年以上と非常に長く、海中でも耐朽性があり水にもとても強いのも特徴のひとつです。
耐腐朽性が高い
イペの道管の中には黄色いラパコールという成分が含まれており、このラパコールには防腐・防虫効果があり、白アリ、フナクイムシなどの害虫や腐朽菌にとても強く、屋外の使用にも防腐剤などの薬剤処理が必要ない材料です。
反りや曲がり少ない
反り曲がりなどの狂いが比較的少なく、大きい角材でも比較的安定した材料と言えます。
ひび、ささくれが少ない
表面は滑らかでひびやささくれは少ないですが、ささくれができるとトゲになって刺さることもあるので、素足での方向は避けたほうが無難です。
加工時にかぶれる可能性もある
加工時に出る木屑に触ると、イペに含まれるラパコールによってかぶれたり、アレルギー反応を起こす場合もあります。ウッドデッキの完成後は、心配する必要はありません。
価格が割高
ハードウッドの中でも特に高価な木材です。
ウリン(ハードウッド)
ウリンは、別名「鉄の木(アイアンウッド)」とも呼ばれており、100年持つといわれるほどの耐久性があります。インドネシアではウリン、マレーシアではビリアンと呼ばれており、日本に輸入されているものの多くはマレーシア産です。
また、狂いや伸縮も少なくディズニシーや横浜ベイサイドマリーナの浮き桟橋などの商業・公共施設でも多く使用されている材料でもあります。
樹種名 | ウリン |
---|---|
別名 | ビリアン、アイアンウッド |
分類 | ハードウッド |
耐用年数 | 25年以上 |
材色 | 赤茶褐色 |
比重(kg/m3) | 0.96~1.04 |
加工性 | ★★ |
耐久性 | ★★★★★ |
防虫性 | ★★★★★ |
アクの出 | 多い |
特徴
- 節がなく美しい木目
- 耐久性が高い
- 抗菌作用があるポリフェノールを多く含む
- ねじれや反りが少ない
- アク(樹液)が多いが中性洗剤で落ちる
- 価格が高騰傾向にある
表面
ウリンの表面には、節がほとんどなく、美しい木目が特徴で滑らかです。材色は最初は明るめの赤褐色ですが、徐々に濃褐色に変わっていき、イペ材よりもやや濃色の色合いとなります。
また、ウリンはタンニンを多く含む木材で湿気るとタンニンが表面に集まって黒ずみになることがあります。
耐久性が高い
耐久性が高い分、非常に重く堅いため加工が難しい材料でもあります。
アク(樹液)
ウッドデッキを施工してから最初の数ヶ月は雨に濡れると表面のポリフェノールを多く含んだアク(樹液)が流れ出します。
これは、よくデメリットとしても挙げられことですが、色が付着した場合は、キッチンハイターなど家庭用の塩素系洗剤で簡単に汚れを落とすことができますので、そこまで心配することではありません。
また、このアク(樹液)は天然成分ですので人体への影響も有りませんので小さなお子さんにも安心です。
アク(樹液)の染み出しを少なくしたい場合は、外部木材用保護塗料を塗布すると出にくくなります。
耐腐朽性が高い
ウリンに含まれるポリフェノールには、虫が嫌がるような苦みや渋みがありフナクイムシやシロアリなどの虫害を防ぎます。
また、バクテリアの繁殖を抑える強い抗菌作用もあるため耐腐朽性も高く、防腐剤などの薬剤処理を行わなくても屋外で使用できるウッドデッキ材です。
ねじれや反りが少ない
ウリンは、ねじれや反りが少ないのも特徴です。細かなひび割れや収縮は生じますが、強度や耐久性など使用上の問題はありません。
価格が高騰傾向にある
イペに比べると比較的安価で購入することができますが、全体的に供給が不安定で価格が高騰傾向にある材料と言えます。
マサランドゥーバ(ハードウッド)
マサランドゥーバは、ウリンによく似た木材ですが、ウリンのようなアク(樹液)が多く出るということはありません。
また、海外では高級家具や桟橋、重構造物などに使われおり、供給が安定していて価格もイペやウリンに比べて安いため、イペ・ウリンの代替品として注目が集まっているハードウッド材です。
樹種名 | マサランドゥーバ |
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別名 | アマゾンジャラ、マニルカラ、アマゾンウリン |
分類 | ハードウッド |
耐用年数 | 20年以上 |
材色 | 赤褐色 |
比重(kg/m3) | 0.93~1.06 |
加工性 | ★★★ |
耐久性 | ★★★★ |
防虫性 | ★★★★ |
アクの出 | 少ない |
特徴
- 品のある赤み
- アク(樹液)が少ない
- 耐久性が高い
- 価格が割安
- 反りや割れが多い
色合い
色合いは美しい赤褐色で、品のある赤みをしています。表面も目が詰まった美しい木肌で、やや光沢を持ち高級感のある材料です。
しかし、色合いは長持ちせずに色が抜けていき、徐々に銀白色に変色しますが、エクステリア空間にマッチしたきれいな色になります。
アク(樹液)が少ない
ウリンはポリフェノールを多く含んでおりアク(樹液)が流れ出す特徴がありましたが、マサランドゥーバはウリンと比べてアク(樹液)が出にくいという利点があります。
耐久性が高い
マサランドゥーバは、イペやウリンに負けない硬さと強さがあり、フナクイムシやシロアリなどの虫害に対しても非常に強い対抗性を持っています。
耐腐朽性も高いため、防腐剤などの薬剤処理も必