洗濯したばかりのバスタオルや部屋干ししたタオルからカビ臭いにおいが。
よくタオルの臭いはカビ臭いと表現されますが、タオルの臭いの原因はカビでないことが多いです。
こちらでは、タオルのカビ臭い原因と臭いを消す方法、臭いがつかない予防方法について詳しくまとめています。
タオルの臭いはカビじゃない!?
「タオルに黒カビ発見!と思いきや実は……」で、衛生微生物研究センター主任研究員の李新一氏は、「タオルは黒カビよりも雑菌が大量増殖するため、タオルが相当臭う」と指摘しています。
つまり、タオルのカビ臭い原因の多くは、雑菌ということです。
それ以外にも以下のようなことを指摘しています。
- タオルは濡れてもすぐ乾くため黒カビが発生することはそれほどない
- 濡れたタオルを乾燥させず放置しなければ黒カビは発生しないと考える
タオルには、カビだけでなく雑菌も増殖しますが、増殖速度を比較するとカビよりも雑菌のほうが速いため、タオルやバスタオルが臭うなら、まずは雑菌の臭いが先に発生します。
モラクセラ菌(モラクセラ・オスロエンシス)
タオルにつく代表的な菌は「モラクセラ菌(モラクセラ・オスロエンシス)」で、部屋干ししたときの生乾きのニオイの犯人です。
ただし、モラクセラ菌が臭うのではなく、モラクセラ菌が増殖する時に出す排泄物が臭いの原因です。
この排泄物には、化学物質の4メチル3ヘキセン酸(4M3H)が含まれており、洗濯物の生乾き臭や雑巾臭と表現される特異臭を持ちます。
そのため、カビ臭いタオルやバスタオルの臭いを取るには、モラクセラ菌を殺菌し、モラクセラ菌の排泄物をすすぎ洗いする必要があります。
カビ臭いタオルの臭いを取る方法
カビ臭いタオルやバスタオルの臭い取るには、以下の方法で、モラクセラ菌を殺菌して排泄物を取り除きましょう。
- 60℃程度のお湯に20分ほど漬け置きする
- コインランドリーの洗濯乾燥機を使う
60℃程度のお湯に20分ほど漬け置きする
モラクセラ菌は、熱に弱いため、お湯に漬け置きするのが有効です。
モラクセラ菌は、60℃以上の温度で増殖しなくなり、20分ほど漬け置きすると、菌が激減します。
- バケツに60℃程度のお湯を入れる
- カビ臭いタオルをお湯に漬ける
- バケツに蓋をする
- 20分ほど漬け置きして、キレイな水ですすぐ
- すぐ外に干す
1. バケツに60℃程度のお湯を入れる
まず、バケツにタオルがしっかり浸かるぐらいの深さまで60℃程度のお湯を入れます。
濡れたタオルを入れる場合は、バケツに入れるとすぐに2~3℃水温が下がりますので、それを考慮して温度設定してください。
確実に殺菌したい場合は、熱湯で煮沸してもいいですが、タオルの生地を傷めるため、60~65℃程度がおすすめです。
温度調整
お湯の温度を知る術についてですが、60℃程度のお湯を温度計を使わずに調べる方法で、以下のようなものがありました。
- 沸騰しはじめて泡が立ち始めたぐらいが60℃ぐらい
- 沸騰したお湯に同量の水を加えたら60℃ぐらい
- 沸騰したお湯に少し少な目の水を加えたら60℃ぐらい
すべて試してみましたが、温度に差があり当てになりません。
コンロで沸かすとあっという間に温度が上昇し、40℃付近くらいから泡が立ち始めるため、60℃付近との違いが分かりませんでした。
水を加えるというのも、水温が季節によって違うため、量だけの調整は困難です。(都庁付近の水道水の水温データ)
そこで、温度が安定している氷の量で調整すると以下のようになりました。
お湯の水量 | 氷の数 | 水温 |
---|---|---|
1L | 12個 | 67℃ |
13個 | 65℃ | |
14個 | 63℃ | |
15個 | 61℃ |
実験では、お湯を沸かしてバケツに入れると水温は86℃程度になります。
そこから一気に冷蔵庫で製氷した氷を入れ、水温の変化を計測しました。
1Lのお湯に対して、12~15個の氷で、60℃台の水温となります。
冷蔵庫で製氷した氷は、約12ml/個だったため、1Lのお湯に対して144ml~180mlの氷を入れると60℃台の水温となります。
一番正確なのは、やはり温度計を使うことですが、温度計で考えている方は、シンプルな棒状温度計か、他でも利用できる料理用温度計がおすすめです。
ちなみに、100円ショップでは、50℃までしか測れるものしか見当たりませんでした。
2. カビ臭いタオルをお湯に漬ける
タオルがしっかり浸かるぐらいの深さまでお湯を入れたら、折り曲げずに広げた状態でカビ臭いタオルを入れてください。
3. バケツに蓋をする
バケツにお湯を入れると、時間が経つごとに温度が下がってきます。
こちらは、実際に「蓋なし」「蓋あり」「キッチンラップ」別にバケツのお湯の温度がどのように変化したか調べたものです。
経過時間 | 蓋なし | 蓋あり | キッチンラップ |
---|---|---|---|
0分 | 89℃ | 92℃ | 91℃ |
5分 | 73℃ | 87℃ | 85℃ |
10分 | 64℃ | 83℃ | 80℃ |
15分 | 57℃ | 79℃ | 76℃ |
20分 | 53℃ | 76℃ | 72℃ |
25分 | 49℃ | 73℃ | 69℃ |
30分 | 46℃ | 70℃ | 66℃ |
35分 | 44℃ | 67℃ | 63℃ |
40分 | 42℃ | 65℃ | 61℃ |
45分 | 40℃ | 63℃ | 58℃ |
50分 | 38℃ | 61℃ | 56℃ |
55分 | 37℃ | 59℃ | 54℃ |
60分 | 35℃ | 57℃ | 53℃ |
65分 | 34℃ | 55℃ | 51℃ |
70分 | 33℃ | 54℃ | 49℃ |
その時の温度・湿度で違いは出てきますが、蓋あり・なしでは、保温力に差があります。
手元に蓋がない場合は、キッチンラップで密閉して、保温力を高めてください。
4. 20分ほど漬け置きして、キレイな水ですすぐ
蓋をしたら、20分ほど漬け置きします。
時間が経過したら、キレイな水で2回以上すすいでください。
5. すぐ外に干す
すすぎが終わったら、しっかり水気を取って、すぐ外に干してください。
部屋干しは、またモラクセラ菌が増殖する恐れがあるので、乾燥していて快晴の日がベストです。
コインランドリーの洗濯乾燥機を使う
モラクセラ菌を高温で殺菌する方法として、コインランドリーで高温乾燥させる方法があります。
手っ取り早く、他の洗濯物とまとめてカビ臭いタオルの臭いを落としたい場合は、コインランドリーの洗濯乾燥機を利用しましょう。
ただし、コインランドリーの洗濯乾燥機には、「高温・中温・低温」を個別設定できるものや、コースで選ぶものなど様々です。
殺菌が目的であれば、高温設定にする必要がありますが、衣類の素材によっては生地を傷めることも。
まとめて洗濯乾燥する場合は、他の洗濯物が高温乾燥できる素材か確認して仕分けしてください。
また自宅に衣類乾燥機がある方は、温風温度がいくらなのか確認して、70~80℃以上であれば、自宅の衣類乾燥機を利用しましょう。
80℃以上の温風で、モラクセラ菌の減少率が99.9%の実験結果を公表しています。
「除菌(75℃)コース」機能があり、温風温度を高く(75℃)に保って、洗濯物の除菌効果を高めています。