タオルがカビ臭いのは菌が原因!?タオルの臭いの消し方と予防方法

洗濯したばかりのバスタオルや部屋干ししたタオルからカビ臭いにおいが。

よくタオルの臭いはカビ臭いと表現されますが、タオルの臭いの原因はカビでないことが多いです。

こちらでは、タオルのカビ臭い原因と臭いを消す方法、臭いがつかない予防方法について詳しくまとめています。

【この記事を書いた人】
建築業界に携わってきた建築士・宅建士・建築積算士・被災建築物応急危険度判定士。
自宅は分離発注で、自分で現場管理。気密や断熱を知らないおじいちゃん大工さんたちと高断熱高気密住宅を建ててみた結果→C値:0.0(中間時:0.025、完成時:0.006)
本質を知りたがり症候群のため、マニアックな内容が多し。
電子工作やIoTデバイス製作に没頭中。室内環境をフルオートで管理するのが目標。
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タオルの臭いはカビじゃない!?

タオルに黒カビ発見!と思いきや実は……」で、衛生微生物研究センター主任研究員の李新一氏は、「タオルは黒カビよりも雑菌が大量増殖するため、タオルが相当臭う」と指摘しています。

つまり、タオルのカビ臭い原因の多くは、雑菌ということです。

それ以外にも以下のようなことを指摘しています。

  • タオルは濡れてもすぐ乾くため黒カビが発生することはそれほどない
  • 濡れたタオルを乾燥させず放置しなければ黒カビは発生しないと考える

タオルには、カビだけでなく雑菌も増殖しますが、増殖速度を比較するとカビよりも雑菌のほうが速いため、タオルやバスタオルが臭うなら、まずは雑菌の臭いが先に発生します。

モラクセラ菌(モラクセラ・オスロエンシス)

タオルにつく代表的な菌は「モラクセラ菌(モラクセラ・オスロエンシス)」で、部屋干ししたときの生乾きのニオイの犯人です。

ただし、モラクセラ菌が臭うのではなく、モラクセラ菌が増殖する時に出す排泄物が臭いの原因です。

この排泄物には、化学物質の4メチル3ヘキセン酸(4M3H)が含まれており、洗濯物の生乾き臭や雑巾臭と表現される特異臭を持ちます。

そのため、カビ臭いタオルやバスタオルの臭いを取るには、モラクセラ菌を殺菌し、モラクセラ菌の排泄物をすすぎ洗いする必要があります。

カビ臭いタオルの臭いを取る方法

カビ臭いタオルやバスタオルの臭い取るには、以下の方法で、モラクセラ菌を殺菌して排泄物を取り除きましょう。

  • 60℃程度のお湯に20分ほど漬け置きする
  • コインランドリーの洗濯乾燥機を使う

60℃程度のお湯に20分ほど漬け置きする

モラクセラ菌は、熱に弱いため、お湯に漬け置きするのが有効です。

モラクセラ菌は、60℃以上の温度で増殖しなくなり、20分ほど漬け置きすると、菌が激減します。

  1. バケツに60℃程度のお湯を入れる
  2. カビ臭いタオルをお湯に漬ける
  3. バケツに蓋をする
  4. 20分ほど漬け置きして、キレイな水ですすぐ
  5. すぐ外に干す

1. バケツに60℃程度のお湯を入れる

まず、バケツにタオルがしっかり浸かるぐらいの深さまで60℃程度のお湯を入れます。

濡れたタオルを入れる場合は、バケツに入れるとすぐに2~3℃水温が下がりますので、それを考慮して温度設定してください。

確実に殺菌したい場合は、熱湯で煮沸してもいいですが、タオルの生地を傷めるため、60~65℃程度がおすすめです。

温度調整

お湯の温度を知る術についてですが、60℃程度のお湯を温度計を使わずに調べる方法で、以下のようなものがありました。

  • 沸騰しはじめて泡が立ち始めたぐらいが60℃ぐらい
  • 沸騰したお湯に同量の水を加えたら60℃ぐらい
  • 沸騰したお湯に少し少な目の水を加えたら60℃ぐらい

すべて試してみましたが、温度に差があり当てになりません。

コンロで沸かすとあっという間に温度が上昇し、40℃付近くらいから泡が立ち始めるため、60℃付近との違いが分かりませんでした。

水を加えるというのも、水温が季節によって違うため、量だけの調整は困難です。(都庁付近の水道水の水温データ

そこで、温度が安定している氷の量で調整すると以下のようになりました。

お湯1Lに対する氷の数と温度変化
お湯の水量 氷の数 水温
1L 12個 67℃
13個 65℃
14個 63℃
15個 61℃

実験では、お湯を沸かしてバケツに入れると水温は86℃程度になります。

そこから一気に冷蔵庫で製氷した氷を入れ、水温の変化を計測しました。

1Lのお湯に対して、12~15個の氷で、60℃台の水温となります。

冷蔵庫で製氷した氷は、約12ml/個だったため、1Lのお湯に対して144ml~180mlの氷を入れると60℃台の水温となります。

一番正確なのは、やはり温度計を使うことですが、温度計で考えている方は、シンプルな棒状温度計か、他でも利用できる料理用温度計がおすすめです。

ちなみに、100円ショップでは、50℃までしか測れるものしか見当たりませんでした。

2. カビ臭いタオルをお湯に漬ける

タオルがしっかり浸かるぐらいの深さまでお湯を入れたら、折り曲げずに広げた状態でカビ臭いタオルを入れてください。

3. バケツに蓋をする

バケツにお湯を入れると、時間が経つごとに温度が下がってきます。

こちらは、実際に「蓋なし」「蓋あり」「キッチンラップ」別にバケツのお湯の温度がどのように変化したか調べたものです。

バケツのお湯の温度変化
経過時間 蓋なし 蓋あり キッチンラップ
0分 89℃ 92℃ 91℃
5分 73℃ 87℃ 85℃
10分 64℃ 83℃ 80℃
15分 57℃ 79℃ 76℃
20分 53℃ 76℃ 72℃
25分 49℃ 73℃ 69℃
30分 46℃ 70℃ 66℃
35分 44℃ 67℃ 63℃
40分 42℃ 65℃ 61℃
45分 40℃ 63℃ 58℃
50分 38℃ 61℃ 56℃
55分 37℃ 59℃ 54℃
60分 35℃ 57℃ 53℃
65分 34℃ 55℃ 51℃
70分 33℃ 54℃ 49℃

その時の温度・湿度で違いは出てきますが、蓋あり・なしでは、保温力に差があります。

手元に蓋がない場合は、キッチンラップで密閉して、保温力を高めてください。

4. 20分ほど漬け置きして、キレイな水ですすぐ

蓋をしたら、20分ほど漬け置きします。

時間が経過したら、キレイな水で2回以上すすいでください。

5. すぐ外に干す

すすぎが終わったら、しっかり水気を取って、すぐ外に干してください。

部屋干しは、またモラクセラ菌が増殖する恐れがあるので、乾燥していて快晴の日がベストです。

コインランドリーの洗濯乾燥機を使う

モラクセラ菌を高温で殺菌する方法として、コインランドリーで高温乾燥させる方法があります。

手っ取り早く、他の洗濯物とまとめてカビ臭いタオルの臭いを落としたい場合は、コインランドリーの洗濯乾燥機を利用しましょう。

ただし、コインランドリーの洗濯乾燥機には、「高温・中温・低温」を個別設定できるものや、コースで選ぶものなど様々です。

殺菌が目的であれば、高温設定にする必要がありますが、衣類の素材によっては生地を傷めることも。

まとめて洗濯乾燥する場合は、他の洗濯物が高温乾燥できる素材か確認して仕分けしてください。

また自宅に衣類乾燥機がある方は、温風温度がいくらなのか確認して、70~80℃以上であれば、自宅の衣類乾燥機を利用しましょう。

80℃以上の温風で、モラクセラ菌の減少率が99.9%の実験結果を公表しています。

「除菌(75℃)コース」機能があり、温風温度を高く(75℃)に保って、洗濯物の除菌効果を高めています。

「念入り(除菌)仕上げ」機能があり、乾燥終了前に75℃までドラム内の温度を上げ、衣類の除菌を行います。

「約75℃除菌コース」機能があり、乾燥の最終工程でドラム内の温度を75℃まで高めることで除菌効果を向上させます。

臭いは消えたけど、黒い斑点が取れない場合

ここまでの方法で、臭いは取れたけど、黒い斑点が取れない場合は、黒カビの可能性があります。

黒カビの場合、黒い斑点は黒カビの胞子の色素が原因です。

黒カビの胞子の色素は、お湯では落ちず、漂白剤で落とします。

こちらについては「タオルの黒カビの取り方!」で詳しくまとめていますので、確認ください。

臭いがつかない予防方法

臭いをつかないようにするためには、菌を増殖させないことが重要です。

菌が増殖する条件は、以下の通りです。

  • 温度
  • 湿度
  • 栄養分

つまり、タオルに残った人の皮膚汚れなどの「栄養分」を取り除き、なるべく乾いた環境にしておくことが、菌を増殖させずに臭いがつかない予防となります。

そのためには、まず以下の2つを心がけましょう。

  • 使ったタオルはその日の内に洗濯する
  • 乾燥しやすい環境にする

タオルに黒カビを生えさせないようにする方法

使ったタオルはその日の内に洗濯する

1日使ったタオルは水分を多く含んでおり、モラクセラ菌には絶好の環境です。

そのまま放置しておくとモラクセラ菌が増殖していきますので、その日の内に洗濯しましょう。

夜に洗濯できない方は、その日の日中あるいは翌日の朝に洗濯し、1日置きに新しいタオルと取り換えてください。(増殖する前に洗濯)

音が気になって夜洗濯できないと心配する方も多いですが、最近の洗濯機は音がとても静かで、夜でも洗濯できます。

それを可能にしているのが、インバーターです。

インバーター:電気の流れる量を調整する装置で、モーターを制御する司令塔。洗濯槽の動きをコントロールできるため運転音も静か。

音が気になる方は、新しく買い替える際、インバーター式洗濯機を選びましょう。

洗濯が終わったら、すぐに干す

洗濯が終わったら、すぐに干して乾かしてください。

モラクセラ菌を増殖させないためには、早く乾かして水分を少なくすることがポイントです。

洗濯物の乾き具合は、干す場所の環境(温度・湿度・風)によって変わります。

  • 温度が高いと乾きやすい(温度が低いと乾きにくい)
  • 湿度が低いと乾きやすい(湿度が高いと乾きにくい)
  • 風が強いと乾きやすい(風が弱いと乾きにくい)

部屋干しでなかなか乾かないのは、部屋の湿度が高くなり、洗濯物の水分が蒸発しにくくなるのが原因です。

もしも部屋干しをする場合は、東西方向もしくは南北方向に2か所窓を開けてください。

2か所窓を開けると風が通り、湿った空気が排気され、洗濯物が乾きやすくなります。

衣類乾燥機にかける

自宅に衣類乾燥機がある方も、洗濯が終わったら、すぐに乾燥機にかけてください。

乾燥機にかけるから大丈夫と、洗濯機の中に放置したままにしておくと、そこでモラクセラ菌が増殖して、カビ臭くなります。

そのあとに、乾燥機をかけたとしてもモラクセラ菌の排泄物は残ったままで、乾燥温度によっては、モラクセラ菌が除菌されない可能性もあります。

よって、洗濯が終わったら、すぐに乾燥機にかけましょう。

乾燥しやすい環境にする

タオルを濡れたまま放置しておくとモラクセラ菌が増殖しやすくなります。

逆に乾燥しやすい状況を作れば、増殖を抑えることができます。

  • 洗濯するまで室内に干す
  • 壁からタオルを離す
  • タオルを二つ折りにしない

洗濯するまで室内に干す

一人暮らしで、何日かまとめて洗濯する方も多いと思います。

タオルやバスタオルを洗濯カゴあるいは、洗濯槽に入れたまま放置しておくと、モラクセラ菌の温床となりますので、まとめて洗濯する場合は、濡れたタオルとバスタオルは洗濯するまで室内に干しましょう。

外に干すと室内より乾燥しやすいメリットがありますが、花粉やホコリがつき、菌やカビの栄養源になるデメリットもあるため、自身の環境に合わせて選択してください。

壁からタオルを離す

一般的なタオルハンガーは、濡れたタオルが壁面に触れるため、壁面が他と比べて菌やカビが増殖しやすい部分です。

清潔に保つためにも以下のような壁に接触しないタオルハンガーを利用すると有効です。

タオルを二つ折りにしない

利用しているタオルハンガーの幅が狭い場合、よくタオルを二つ折りにして置いている方がいます。

二つ折りにすると風が通りにくく、タオルが乾燥しにくい状態です。

乾燥しやすい状態にするためには、幅の狭いタオルを利用するなど、タオルを二つ折りにしないようにしましょう。

まとめ

  • タオルのカビ臭い原因は、モラクセラ菌の排泄物(4メチル3ヘキセン酸)
  • カビ臭いタオルの臭いを取る方法
    • 60℃程度のお湯に20分ほど漬け置きする
      • バケツに60℃程度のお湯を入れる
        カビ臭いタオルをお湯に漬ける
        バケツに蓋をする
        20分ほど漬け置きして、キレイな水ですすぐ
        すぐ外に干す
    • コインランドリーの洗濯乾燥機を使う
      • 温風温度を確認してから利用する
      • 自宅の乾燥機でも温風温度が70~80℃以上ならOK
  • 黒い斑点が取れない場合
    • 黒い斑点は黒カビの胞子の色素で漂白剤で落とす
  • 臭いがつかない予防方法
    • 使ったタオルはその日の内に洗濯する
      • 洗濯が終わったらすぐに干す
      • 衣類乾燥機にかける
    • 乾燥しやすい環境にする
      • 洗濯するまで室内に干す
      • 壁からタオルを離す
      • タオルを二つ折りにしない

菌やカビに関連する記事一覧

菌やカビの生態を知ると、どのように対処すればよいか判断できます。

特にハウスダストアレルギーの方は、アレルゲンの一つであるカビをコントロールすることで、アレルギー症状を抑えることができます。

深く知りたい方は、以下の関連記事や参考文献で理解を深めましょう。

参考文献

こちらの記事は、以下の専門的な参考文献などを基にまとめられています。

クリーニング店店主・中村安秀氏・手芸作家・森恵美子氏監修本。衣類をいためない洗濯法・収納法など、衣類を傷めず長くキレイに保つ手入れのコツをまとめた一冊。
クリーニング技術研究会主宰・山崎勝氏の著書。クリーニング業界内では「洗い・シミ抜きの第一人者」と言われており、洗剤の種類や洗い方、シミ抜きの極意、仕上・保管方法など詳しく解説。
日本防菌防黴学会の編著。菌とカビの違いや、キッチン・トイレ・洗濯などでの予防および対処法を詳しく解説。絵も多用されており、初めて菌やカビについて調べる方にとって分かりやすい。
株式会社生活と科学社代表・猪ノ口幹雄氏の著書。過炭酸ナトリウムのメカニズムから洗濯槽の黒カビ除菌の方法を「縦型洗濯機」「ドラム式洗濯機」「二槽式洗濯機」ごとに解説。他にも場所ごとの過炭酸ナトリウムの使い方をまとめた一冊。

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