オキシクリーンで黒カビが落ちない原因と対処法まとめ

オキシクリーンで黒カビが落ちないのは、誤った使い方をしているのが原因かもしれません。

「水あるいは熱湯にかけて使った」「しっかりオキシクリーンをかき混ぜてから使った」など心当たりありませんか?

オキシクリーンの使い方を間違えると、効果が半減してしまい、黒カビが落ちないことも。

こちらでは、オキシクリーンの成分がどのように黒カビに作用するのか、落ちない理由、正しい使い方などについて詳しくまとめています。

オキシクリーンとは

一般的に使用される漂白剤には、「酸素系漂白剤」と「塩素系漂白剤」の2つがありますが、オキシクリーンは、アメリカで生まれた粉末タイプの「酸素系漂白剤」です。

酸素系漂白剤:シミ汚れやくすみ、ニオイを除去。色落ちしないので、色柄物にも使える。軽い汚れ落としなら液体、頑固な汚れ落としなら粉末がおすすめ。
塩素系漂白剤:強い漂白力と除菌、消臭効果がある洗剤。漂白力が強いため、色柄物には使えない。白物衣料でもウール・絹など使えない素材がある。

オキシクリーンの種類

日本で販売されているオキシクリーンには、日本版とアメリカ版の2つがあり、主に以下の種類に分かれます。

商品画像商品名成分液性香り原産国
オキシクリーン(日本版)過炭酸ナトリウム(酸素系)、
洗浄補助剤(炭酸ナトリウム)
弱アルカリ性無香料中国
オキシクリーン EX(日本版)過炭酸ナトリウム(酸素系)、
洗浄補助剤(炭酸ナトリウム)、
界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
弱アルカリ性微香タイプアメリカ
オキシクリーン(アメリカ版)過炭酸ナトリウム(酸素系)、
洗浄補助剤(炭酸ナトリウム)、
界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
弱アルカリ性微香タイプアメリカ

日本版とアメリカ版の大きな違いは、界面活性剤が入っているかどうかで、オキシクリーン(日本版)には、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)が入っていません。

界面活性剤:水になじみやすい「親水性」と、油になじみやすい「親油性」の2つの部分を持つ物質の総称。まじりあわない水と油を混ぜる働きをし、油汚れを落とす。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE):肌への刺激や毒性がほとんどない非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)。家庭の台所用洗剤や洗濯用洗剤、化粧品などによく使われる。

オキシクリーンは、カビに特化した酸素系漂白剤ではなく、汗ジミ・黄ばみ・泥汚れなどの衣類や、キッチン、お風呂場、流し台などでも使用できる漂白剤です。

後ほど詳しく説明しますが、オキシクリーンで黒カビが落ちない原因は、界面活性剤が入っている「オキシクリーン EX(日本版)」「オキシクリーン(アメリカ版)」を使ったからかもしれません。

タオルの黒カビを落としたい場合は、界面活性剤が入っていない「オキシクリーン(日本版)」を使いましょう。

オキシクリーンの成分

オキシクリーン(日本版)には、以下の成分が含まれています。

  • 過炭酸ナトリウム
  • 炭酸ナトリウム

過炭酸ナトリウムとは、「炭酸ナトリウム」と「過酸化水素」が2対3のモル比で混合された付加化合物で、日本の法令上では「炭酸ナトリウム過酸化水素付加物」と呼ばれています。(別名:「過炭酸ソーダ」)

モル比(物質量の比):各成分の量をモル数で表したものの割合。1モルはアボガドロ定数(6.02×1023)個集まった粒子の量。

過炭酸ナトリウムは、水や金属、有機物と反応する性質があり、水に溶かすと、「炭酸ナトリウム」と「過酸化水素」の2つに分解されます。

炭酸ナトリウム

炭酸ナトリウムは、「炭酸ソーダ」「ソーダ灰」とも呼ばれ、水によく溶け、強いアルカリ性を示します。

そのため、石鹸の洗浄力を高めるためのアルカリ助剤として使われることが多いです。

過酸化水素

過酸化水素からは、酸素が発生し、泡の力で汚れを浮き上がらせます。

また、活性酸素による酸化殺菌の効果があり、カビを殺菌するのに有効です。

活性酸素:大気中に含まれる酸素分子がより反応性の高い化合物に変化したものの総称。ほかの物質を酸化させる力(他の分子から電子を奪う)が非常に強い酸素。活性酸素が微生物細胞の細胞質膜を阻害し、強力な酸化殺菌効果を生む。

つまり、タオルの黒カビを落とすには、過酸化水素から発生する活性酸素が重要な役割を担っているということです。

先ほど、界面活性剤が入っていない「オキシクリーン(日本版)」を使いましょうと説明しましたが、過炭酸ナトリウムに界面活性剤を入れると、酸素の発生量が落ちます。

このことについては、「過炭酸ナトリウムを利用した実験教材」の実験結果で「特に界面活性剤は酸素発生時に大量に泡となり、酸素がうまく発生しない原因と考えられる」と考察されています。

界面活性剤は、油汚れに有効なため、衣類に付着した皮脂などの油汚れを落とす目的であれば効果がありますが、黒カビに関して言えば、活性酸素が強力な酸化殺菌効果を生むため、効率的に落とすなら酸素量を阻害しない(界面活性剤が入っていない)「オキシクリーン(日本版)」を使ったほうがよいと考えます。

これは、界面活性剤の入った「 オキシクリーン EX(日本版)」では、黒カビが落ちないという話ではなく、どちらのオキシクリーンが黒カビを落とすのに効果があるかを考察した話なので、ご注意ください。

また、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)には、カビの種類によって、生育を促進する作用と、生育を阻害する作用の両方を持つ実験結果もあります。(黒カビ[C. cladosporioides]には生育阻害作用が働く)

こちらについては、「 種々の界面活性剤のカビの生育に与える影響」で詳しく考察されていますので、興味のある方は、ご確認ください。

漂白効果

黒カビは、60℃程度のお湯に漬けると死滅させることができます。

素材のダメージを気にせず、黒カビの死滅だけ考えるのであれば、熱湯をかければすぐに死滅しますが、黒カビの黒い斑点は落ちません。

カビは「菌糸」と「胞子」の2つから構成されています

黒カビの黒い斑点は、胞子の色素の色です。

この色素を化学反応によって分解し、漂白してくれるのが活性酸素です。

つまり、オキシクリーン(日本版)は、タオルに付着した黒カビを活性酸素で酸化殺菌し、色素を分解してくれる漂白剤ということです。

オキシクリーンで黒カビが落ちるか落ちないかは、活性酸素をいかに効率よく発生させるかがポイントになります。

オキシクリーンの使い方

オキシクリーンには、主に以下のような使い方があります。

  • オキシ漬け・・・漬け置き洗い
  • オキシ足し・・・汚れ落ちサポート
  • オキシかけ・・・溶液を直接かける
  • オキシこすり・・・溶液をかけブラシでこする
  • オキシ拭き・・・布に溶液を含ませ拭き取る

オキシ漬け

オキシ漬けとは、オキシクリーンで漬け置きする方法のことです。

漬けておくだけの簡単作業なので、以下の6つの工程で、誰でも簡単に実践することができます。

  1. オキシクリーンを適量入れる
  2. 黒カビがついたタオルをお湯に漬ける
  3. バケツに60℃程度のお湯を入れる
  4. バケツに蓋をする
  5. 60分ほど漬け置きして、キレイな水ですすぐ
  6. すぐ外に干す

この中で、オキシクリーンで黒カビが落ちない原因となるのが、「入れる量」「溶かし方」「お湯の温度」「保温」「漬ける時間」です。

入れる量

黒カビが落ちない原因の一つが、オキシクリーンの入れる量です。

オキシクリーンの入れる量は、指示されている量を入れてください。

オキシクリーンのパッケージには、オキシ漬けをする場合は、4Lのお湯に対してキャップ1杯分(約28g)を入れるよう指示されています。

これよりも入れる量が少ないと、オキシクリーンの濃度が薄まり、黒カビが落ちない原因となります。

水量に対するオキシクリーンの量
お湯の水量オキシクリーンの量質量パーセント濃度
0.5Lキャップ1/2杯(約14g)2.7%
1.0Lキャップ1杯(約28g)
1.5Lキャップ1+1/2杯(約42g)
2.0Lキャップ2杯(約56g)
2.5Lキャップ2+1/2杯(約70g)
3.0Lキャップ3杯(約84g)

溶かし方

黒カビが落ちない原因の一つが、溶かし方にあります。

バケツにオキシクリーンを溶かしてから、タオルや衣類を入れる方がいますが、溶かした段階から活性酸素が発生します。

活性酸素の無駄な消費は、黒カビが落ちない原因となりますので、バケツにオキシクリーンを入れてから、タオルや衣類を入れて、お湯を注ぎましょう。

60℃以上のお湯で保温して漬け置きすれば、オキシクリーンの粒は溶けますので、混ぜる必要はありません。

お湯の温度

黒カビが落ちない原因の一つが、お湯の温度です。

オキシ漬けは、水ではなく、60℃程度のお湯を入れます。

60℃程度のお湯にする理由には、以下の2つがあります。

  • 黒カビを熱で死滅させる
  • 色素除去の最適温度
黒カビを熱で死滅させる

カビは40℃以上になると生育がとまり、50℃ではとんどの菌糸が死滅することが分かっています。

しかし、「カビ対策マニュアル基礎編/文部科学省」では、カビ胞子は耐熱性があり、特に子嚢胞子は最も耐熱性が高く、80℃で30分程度の加熱処理によりカビを死滅させることができると記述されています。

80℃以上のお湯につけると、生地を傷め、火傷する危険性もあるため、60℃程度のお湯に抑え、長時間漬け置きすることで死滅させていきます。

色素除去の最適温度

繊維上のかび色素汚染の除去」「過炭酸ソー ダの漂白効果について」「過炭酸ナトリウムを利用した実験教材」の実験結果では、過炭酸ナトリウム(過炭酸ソー ダ)は、概ね60℃~75℃分で60分漬け置きすると、漂白剤の効果が高いと考察しています。

実験結果では、70℃、75℃が一番効果があるという結論に至っていますが、生地の素材を考慮して60℃程度にしましょう。

保温

黒カビが落ちない原因の一つが、保温です。

バケツにお湯を入れると、時間が経つごとに温度が下がってきます。

60℃程度が漂白剤の効果が高い実験結果がありますが、常に60℃がキープされた状態ではありません。

こちらは、実際に「蓋なし」「蓋あり」「キッチンラップ」別にバケツのお湯の温度がどのように変化したか調べたものです。

バケツのお湯の温度変化
経過時間蓋なし蓋ありキッチンラップ
0分89℃92℃91℃
5分73℃87℃85℃
10分64℃83℃80℃
15分57℃79℃76℃
20分53℃76℃72℃
25分49℃73℃69℃
30分46℃70℃66℃
35分44℃67℃63℃
40分42℃65℃61℃
45分40℃63℃58℃
50分38℃61℃56℃
55分37℃59℃54℃
60分35℃57℃53℃
65分34℃55℃51℃
70分33℃54℃49℃

その時の温度・湿度で違いは出てきますが、蓋あり・なしでは、保温力に差があります。

温度が低くなると、活性酸素の発生量が減るため、オキシクリーンで黒カビが落ちない原因となります。

手元に蓋がない場合でも、キッチンラップで密閉して、保温力を高めてください。

漬ける時間

黒カビが落ちない原因の一つが、漬ける時間です。

漬ける時間は、最低60分としてください。

繊維上のかび色素汚染の除去」では、20分ごろから漂白剤の効果がでてきて、60分経つと,JIS L 0801染色堅ろう度試験方法通則に準じた評価で、汚染用の変退色等級が「5」になる結果がでています。

JIS L 0801染色堅ろう度試験方法(汚染用):汚染用グレースケールと実際試験した試料を比較して、級数を決定する試験。等級は5級~1級の9段階評価で、数値が大きいほど、白くなる。(漂白されている)

それでもオキシクリーンで黒カビが落ちない場合は?

それでもオキシクリーンで黒カビが落ちない場合は、それだけタオルや衣類に色素がこびりついているということです。

つまり、オキシクリーンの適量の酸化力では足りないということですので、お湯に対してのオキシクリーンの量を少し増やすか、酸素系漂白剤より酸化力の強い「塩素系漂白剤」を試してください。

まとめ

  • オキシクリーンは、粉末タイプの「酸素系漂白剤」
  • オキシクリーンの種類
    • オキシクリーン(日本版)・・・界面活性剤なし
    • オキシクリーン EX(日本版)・・・界面活性剤あり
    • オキシクリーン(アメリカ版)・・・界面活性剤あり
  • タオルの黒カビを落とすには、「オキシクリーン(日本版)」を使う
  •  オキシクリーンの成分
    • 過炭酸ナトリウム=炭酸ナトリウム+過酸化水素
    • 炭酸ナトリウム
  •  黒カビをオキシクリーンで落とす方法
    • オキシ漬け
    • オキシ足し
    • オキシかけ
    • オキシこすり
    • オキシ拭き
  •  オキシ漬けで黒カビが落ちない原因と対処法
    • オキシクリーンを適量入れる
    • オキシクリーン→衣類→お湯の順に入れる
    • バケツに60℃程度のお湯で保温し、60分ほど漬ける
  • オキシクリーンで黒カビが落ちない場合
    • オキシクリーンの量を少し増やす
    • 酸化力の強い「塩素系漂白剤」を使う。

黒カビに関連する記事一覧

カビの生態や洗剤のメカニズムを知ると、どのように対処すればよいか判断できます。

特にハウスダストアレルギーの方は、アレルゲンの一つであるカビをコントロールすることで、アレルギー症状を抑えることができます。

深く知りたい方は、以下の関連記事や参考文献で理解を深めましょう。

参考文献

こちらの記事は、以下の専門的な参考文献などを基にまとめられています。

株式会社生活と科学社代表・猪ノ口幹雄氏の著書。過炭酸ナトリウムのメカニズムから洗濯槽の黒カビ除菌の方法を「縦型洗濯機」「ドラム式洗濯機」「二槽式洗濯機」ごとに解説。他にも場所ごとの過炭酸ナトリウムの使い方をまとめた一冊。
クリーニング店店主・中村安秀氏・手芸作家・森恵美子氏監修本。衣類をいためない洗濯法・収納法など、衣類を傷めず長くキレイに保つ手入れのコツをまとめた一冊。
クリーニング技術研究会主宰・山崎勝氏の著書。クリーニング業界内では「洗い・シミ抜きの第一人者」と言われており、洗剤の種類や洗い方、シミ抜きの極意、仕上・保管方法など詳しく解説。
農学博士(京都大学)で大阪市立自然史博物館に所属している浜田信夫氏の著書。住環境のカビの生態について研究しており、浴室・居間などの居室以外にもエアコンや洗濯機などのカビも詳しく解説している。
浜田信夫氏の著書。初版が2020年と新しい書籍だが、内容は上記の「人類とカビの歴史 闘いと共生と」をコンパクトにまとめた内容。本書を読んで、さらにカビについて詳しく知りたい方は「人類とカビの歴史 闘いと共生と」で理解を深められる。
日本防菌防黴学会の編著。菌とカビの違いや、キッチン・トイレ・洗濯などでの予防および対処法を詳しく解説。絵も多用されており、初めて菌やカビについて調べる方にとって分かりやすい。
NPO法人カビ相談センター監修本。衣・食・住ごとにカビの特徴を解説。カビによる被害とカビを防ぐ方法もまとめられているが、個人が基本的に対策できることは、「清掃・清拭・洗濯」。
収納アドバイザー・本多弘美氏、ナチュラルライフ研究家・佐光紀子氏、消費生活アドバイザー・阿部絢子、料理研究家・渡邊香春子氏がそれぞれの得意分野でまとめた監修本。掃除道具・汚れの種類と落とし方・洗剤などの基礎知識から掃除の実践・応用を詳しくまとめた一冊。