カーポートやガレージの車庫は容積率の対象にならない!?緩和の条件と計算方法

住宅を建築するときに注意しなければいけないのが容積率です。

容積率は土地の広さで建物延床面積が決まりますが、カーポートやガレージなどの車庫も床面積の対象となります。

ただし、容積率の緩和が設けられているため、車庫の床面積は含まれないことも多いです。

こちらでは、カーポートやガレージなどの車庫の床面積が容積率の対象になる場合とならない場合、容積率の緩和について、分かりやすく解説していきます。

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容積率とは

容積率とは 『建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合』 のことです。

延べ面積は延床面積とも呼ばれ、建築物の各階の床面積の合計となります。

容積率を計算式で表すと以下になります。

容積率の計算式容積率(%)=延床面積÷敷地面積×100

例えば、延床面積120㎡、敷地面積150㎡の容積率は

120㎡÷150㎡×100=80%

となります。

容積率は、住宅を立てる用途地域ごとに制限が設けられており、制限されている容積率を超えて住宅を建てることができません

容積率の延床面積に車庫の床面積は含まれる?

容積率は、建築物の延床面積が対象ですが、自動車車庫は、建築基準法第二条第二号で「特殊建築物」に分類され、延床面積の対象となります。

ただし、すべての延床面積が含まれるのではなく、車庫には容積率の緩和が設けられています。

車庫の種類

車庫といっても以下のようにさまざまなものがあります。

  • ビルトインガレージ
  • カーポート
  • 独立した車庫

建築基準法施行令では、「自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分」を「自動車車庫等部分」といい、用途に供する部分としか定義されていません。

つまり、構造や形式は関係なく、建物に付属するビルトインガレージや柱・屋根で形成されるカーポートなども車庫として利用すれば、「自動車車庫等部分」に該当します。

関係法令

(用語の定義)

第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨(こ)線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

二 特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。

三 建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。

建築基準法第二条第二号

(容積率)

第五十二条 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。ただし、当該建築物が第五号に掲げる建築物である場合において、第三項の規定により建築物の延べ面積の算定に当たりその床面積が当該建築物の延べ面積に算入されない部分を有するときは、当該部分の床面積を含む当該建築物の容積率は、当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値の一・五倍以下でなければならない。

一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物(第六号に掲げる建築物を除く。) 十分の五、十分の六、十分の八、十分の十、十分の十五又は十分の二十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
二 第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物(第六号に掲げる建築物を除く。)又は第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域若しくは準工業地域内の建築物(第五号及び第六号に掲げる建築物を除く。) 十分の十、十分の十五、十分の二十、十分の三十、十分の四十又は十分の五十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
三 商業地域内の建築物(第六号に掲げる建築物を除く。) 十分の二十、十分の三十、十分の四十、十分の五十、十分の六十、十分の七十、十分の八十、十分の九十、十分の百、十分の百十、十分の百二十又は十分の百三十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
四 工業地域内の建築物(第六号に掲げる建築物を除く。)又は工業専用地域内の建築物 十分の十、十分の十五、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
五 高層住居誘導地区内の建築物(第六号に掲げる建築物を除く。)であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの(当該高層住居誘導地区に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、その敷地面積が当該最低限度以上のものに限る。) 当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値から、その一・五倍以下で当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計のその延べ面積に対する割合に応じて政令で定める方法により算出した数値までの範囲内で、当該高層住居誘導地区に関する都市計画において定められたもの
六 特定用途誘導地区内の建築物であつて、その全部又は一部を当該特定用途誘導地区に関する都市計画において定められた誘導すべき用途に供するもの 当該特定用途誘導地区に関する都市計画において定められた数値
七 用途地域の指定のない区域内の建築物 十分の五、十分の八、十分の十、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの

建築基準法第五十二条

(面積、高さ等の算定方法)

 延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第五十二条第一項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない。
イ 自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(第三項第一号及び第百三十七条の八において「自動車車庫等部分」という。)
ロ 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分(第三項第二号及び第百三十七条の八において「備蓄倉庫部分」という。)
ハ 蓄電池(床に据え付けるものに限る。)を設ける部分(第三項第三号及び第百三十七条の八において「蓄電池設置部分」という。)
ニ 自家発電設備を設ける部分(第三項第四号及び第百三十七条の八において「自家発電設備設置部分」という。)
ホ 貯水槽を設ける部分(第三項第五号及び第百三十七条の八において「貯水槽設置部分」という。)
ヘ 宅配ボックス(配達された物品(荷受人が不在その他の事由により受け取ることができないものに限る。)の一時保管のための荷受箱をいう。)を設ける部分(第三項第六号及び第百三十七条の八において「宅配ボックス設置部分」という。)

建築基準法施行令第二条第一項四号

自動車車庫の容積率の緩和

カーポートやガレージなどの車庫がある場合は、容積率の緩和が設けられています。

車庫の容積率緩和を受けるための条件は、特に必要ありません。

バイクや自転車置き場も緩和の対象

自動車に限らず自動二輪車のバイクや自転車置き場も容積率緩和の対象となります。

また、車庫に入るまでの経路を誘導車両と言いますがが、こちらも容積率の緩和対象です。

緩和される床面積の上限

容積率の緩和では、車庫の床面積の上限として、以下の計算式から求められます。

容積率の計算式緩和される床面積の上限=(住宅の延べ床面積+車庫の床面積)×1/5

「住宅の延べ床面積+車庫の床面積」は、敷地内建築物の延べ床面積全てになります。

こちらの面積の1/5までが緩和されるか面積の上限です。

カーポートやガレージなどの車庫の床面積が、上限の面積を超える場合は、超えている部分が延床面積に含まれます。

敷地面積 150㎡ 住宅の延床面積 110㎡
容積率の上限 100% 車庫の床面積 24㎡

例えば、上記の条件で緩和される床面積の上限は、

(110㎡+24㎡)×1/5=26.8㎡

となります。

車庫の床面積が24㎡ですので、車庫の床面積24㎡すべてが容積率の算定床面積から除外されます。

容積率を計算すると

110㎡÷150㎡×100=73.3%

となりますので、容積率の上限100%内収まっており、建築することができます。

敷地面積 110㎡ 住宅の延床面積 80㎡
容積率の上限 100% 車庫の床面積 23㎡

もう1つ例を挙げると、上記の条件で緩和される床面積の上限は、

(80㎡+23㎡)×1/5=20.6㎡

となります。

車庫の床面積が23㎡ですので、緩和される床面積の上限を超えています。

超えた分の

23㎡-20.6㎡=2.4㎡

は、容積率の算定床面積に含まれますので、容積率を計算すると

(80㎡+2.4㎡)÷110㎡×100=74.9%

となりますので、こちらも容積率の上限100%内収まっており、建築することができます。

関係法令

(用語の定義)

 第一項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする。

一 自動車車庫等部分 五分の一
二 備蓄倉庫部分 五十分の一
三 蓄電池設置部分 五十分の一
四 自家発電設備設置部分 百分の一
五 貯水槽設置部分 百分の一
六 宅配ボックス設置部分 百分の一

建築基準法第二条第二号

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分離発注で家建築。
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