カーポートやガレージの車庫は建蔽率の対象にならない!?緩和の条件と計算方法

住宅を建築するときは、外構部分に車庫を作りたいと考えることも珍しくありません。

しかし、建築物は土地に対して建てる割合が決まっています。

土地に対して建てる割合には容積率と建蔽率の2つがありますが、カーポートやガレージなどの車庫も床面積の対象となります。

こちらでは、カーポートやガレージなどの車庫の床面積が建蔽率の対象になる場合とならない場合、建蔽率の緩和について、分かりやすく解説していきます。

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建蔽率とは

建蔽率とは 『建築物の建築面積の敷地面積に対する割合』 のことです。

建築面積とは、建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積のことで、基本的には住宅の1階部分の面積が該当します。

建蔽率を計算式で表すと以下になります。

建蔽率の計算式建蔽率(%)=建築面積÷敷地面積×100

例えば、建築面積70㎡、敷地面積150㎡の容積率は

70㎡÷150㎡×100=46.6%

となります。

建蔽率は、住宅を立てる用途地域ごとに制限が設けられており、制限されている建蔽率を超えて住宅を建てることができません

例えば、敷地面積130㎡、建蔽率50%の場合、

130㎡×50%=65㎡

となり、建築面積65㎡までの住宅しか建築してはいけないことになります。

ただし、土地が防火地域であったり角地の場合は、この建蔽率が緩和されることもあります。

建蔽率の延床面積に車庫の床面積は含まれる?

建蔽率は、建築物の建築面積が対象ですが、自動車車庫は、建築基準法第二条第二号で「特殊建築物」に分類され、建築面積の対象となります。

ただし、すべての延床面積が含まれるのではなく、車庫には容積率の緩和が設けられています。

車庫の種類

車庫といっても以下のようにさまざまなものがあります。

  • ビルトインガレージ
  • カーポート
  • 独立した車庫

建築基準法施行令では、「自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分」を「自動車車庫等部分」といい、用途に供する部分としか定義されていません。

つまり、構造や形式は関係なく、建物に付属するビルトインガレージや柱・屋根で形成されるカーポートなども車庫として利用すれば、「自動車車庫等部分」に該当します。

関係法令

(用語の定義)

第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨(こ)線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

二 特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。

三 建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。

建築基準法第二条第二号

(建蔽率)

第五十三条 建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建蔽率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。
一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、田園住居地域又は工業専用地域内の建築物 十分の三、十分の四、十分の五又は十分の六のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
二 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は準工業地域内の建築物 十分の五、十分の六又は十分の八のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
三 近隣商業地域内の建築物 十分の六又は十分の八のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
四 商業地域内の建築物 十分の八
五 工業地域内の建築物 十分の五又は十分の六のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
六 用途地域の指定のない区域内の建築物 十分の三、十分の四、十分の五、十分の六又は十分の七のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの

建築基準法第五十三条

(面積、高さ等の算定方法)

 建築面積 建築物(地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない

建築基準法施行令第二条第一項四号

自動車車庫の建蔽率の緩和

高い開放性を有するカーポートは、車庫の面積の一部が算入されないという建ぺい率の緩和措置があります。

高い開放性を有すると認めて指定する構造(建設省告示第1437号)

建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条第1項第二号の規定に基づき、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造は、次に掲げるものとする。

  • ① 外壁を有しない部分が連続して4m以上であること
  • ② 柱の間隔が2m以上であること
  • ③ 天井の高さが2.1m以上であること
  • ④ 地階を除く階数が1であること

こちらの4つの条件を満たしている場合は、カーポートの柱から1m以内の部分まで建築面積から算入されずに緩和されます。

カーポートは4つの条件を満たすため建蔽率の緩和措置が受けられますが、外壁に囲まれているガレージの場合は、「①外壁を有しない部分が連続して4m以上であること」の条件を満たさないため建蔽率の緩和措置の対象外となります。

ちなみに、ガレージの場合は、三方壁に囲まれているため床面積が固定資産税の対象となります。

車庫の建蔽率緩和を受けるための条件は、特に必要ありません。

バイクや自転車置き場も緩和の対象

自動車に限らず自動二輪車のバイクや自転車置き場も容積率緩和の対象となります。

また、車庫に入るまでの経路を誘導車両と言いますがが、こちらも建蔽率の緩和対象です。

建築士・宅地建物取引士・建築積算士・被災建築物応急危険度判定士・SEOコンサルタント

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