「【注文住宅】多分失敗しない家作りの進め方」で、家作りの2つのポイントは『価値観』と『お金』だと説明しました。
ここでは、ざっくりとした予算を計算して、注文住宅にどれぐらいお金をかけられるのかを把握していきます。
予算
予算とは、『自己資金』と『住宅ローンの借入金額』を合わせた金額です。
まずは、住宅ローンの借入金額を『年収』と『家賃』から決めていきます。
年収別の住宅ローン借入可能額
ほとんどの方は、注文住宅を建てるときに、住宅ローンでお金を借りますよね。
住宅ローンで借りられる金額は、ずばり『年収』で決まります。
お金をたくさん持っている人は、それだけ返せる能力があるので、「年収が高い人=いっぱいお金を借りられる」ということです。
住宅ローンには、いくつも種類がありますが、多くの方が利用するのが「フラット35」という住宅ローンです。
「フラット35」のシミュレーションツールを使って、年収別の住宅ローン借入可能額をまとめたものがこちら。
年収(万円) | 借入可能額(万円) | 年収(万円) | 借入可能額(万円) |
---|---|---|---|
50 | 377 | 550 | 4,842 |
100 | 754 | 600 | 5,282 |
150 | 1,132 | 650 | 5,723 |
200 | 1,509 | 700 | 6,163 |
250 | 1,886 | 750 | 6,603 |
300 | 2,264 | 800 | 7,043 |
350 | 2,641 | 850 | 7,483 |
400 | 3,521 | 900 | 7,924 |
450 | 3,962 | 950 | 8,000 |
500 | 4,402 | 1,000 | 8,000 |
※借入可能な上限額は8,000万円まで
例えば、年収650万円の方は、5,723万円までお金を借りることができます。
この表を見て「結構借りられるじゃん!」と思った方は、要注意。
借入可能額は可能なだけで、返済できるかは別問題です。
MAXで5,723万円借りたときの毎月の返済額は、約19万円。
年収650万円の毎月の手取りは、ざっくり約40万で、半分が家賃を占めることになります。
現実的な借入可能額を把握したい場合は、今支払っている『家賃』からチェックしましょう。
現実的にボーダーラインを決めるなら、現在支払っている家賃+数万円ぐらいですので、次は毎月の返済額から住宅ローンの借入可能額を確認していきます。
毎月返済額別の住宅ローン借入可能額
毎月返済額(万円) | 借入可能額(万円) | 毎月返済額(万円) | 借入可能額(万円) |
---|---|---|---|
3 | 905 | 13 | 3,924 |
4 | 1,207 | 14 | 1,226 |
5 | 1,509 | 15 | 4,528 |
6 | 1,811 | 16 | 4,830 |
7 | 2,113 | 17 | 5,131 |
8 | 2,415 | 18 | 5,433 |
9 | 2,716 | 19 | 5,735 |
10 | 3,018 | 20 | 6,037 |
11 | 3,320 | 21 | 6,339 |
12 | 3,622 | 22 | 6,641 |
こちらは、毎月返済額別の住宅ローン借入可能額をまとめたものです。
例えば、現在家賃が毎月8万円の方は、今の生活水準を保とうとすると、2,415万円までが借入可能額となります。
つまり、2,415万円以上借りると、毎月の支払いがどんどんきつくなるということです。
ここで押さえておきたいポイントは、現実的な借入金額と最大借入可能額を把握しておくこと。
年収650万円(家賃8万円)の場合は、
が、借入可能額からチェックした予算の可能範囲となります。
毎月返済額(万円) | 借入可能額(万円) | 差額(万円) |
---|---|---|
3 | 905 | – |
4 | 1,207 | 302 |
5 | 1,509 | 302 |
6 | 1,811 | 302 |
7 | 2,113 | 302 |
8 | 2,415 | 302 |
9 | 2,716 | 302 |
10 | 3,018 | 302 |
11 | 3,320 | 302 |
12 | 3,622 | 302 |
こちらの表の一番右側の列は、それぞれの借入可能額との差額です。(1,207-905=302)
これは、借入可能額が302万円増加すると、毎月返済額が1万円増えることを意味します。
ハウスメーカーや工務店と話を詰めていくと、予算オーバーすることが多いので、ココを押さえておけば、オーバーした金額から毎月返済額がどれぐらい増えるのかを把握できます。
ちなみに、年収別・毎月返済額別にシミュレーションした条件は、こちらです。
- 返済期間は「35年」
- 返済方法は「元利均等」
- 金利は「2.0%」
返済期間は35年で、「元利均等」は、毎月の返済額が一定の返済方法です。
金利は現在の金利より少し高い『2.0%』で計算しています。
2021年5月現在のフラット35の金利は1.360%~1.620%で、現実的な金利で計算すると、借入金額350万円ぐらいの増加で、毎月返済額が1万円増えます。
金利を低く設定すれば借りられる金額も増えますが、厳しい側に常に設定しておいたほうが、「どうしようもできねぇ!」なんて状況を緩和できます。
それと、共働きの場合は、それぞれ住宅ローンを借りられるのもポイント。
例えば、お互いの年収が400万円であれば、3,521万円×2=7,042万円がトータルの借入可能額になります。
自己資金
住宅ローンの借入可能額がだいたい分かったら、次は手元にあるお金の中から、いくら家を建てる費用に当てるか考えていきます。
自己資金とは、手元にあるお金の中で、土地・建物の費用に充てるお金のことです。
全財産全てを家を建てる費用にあてたら、転居後に生活するお金がありません。
数ヶ月の生活費や不足の事態(入院など)分は、手元に残しておきましょう。
手元に残すお金は、全財産から6か月分の生活費を除いた金額を自己資金としてください。
例えば、全財産が700万円で毎月の生活費が30万円の場合は、700万円-(30万円×6ヶ月)=520万円が自己資金となります。
一般的には、3~6ヶ月分の生活費を手元に残しておけ!と言われますが、こちらも厳しい側で設定します。
生活費がいくらか分からない人は、毎月手元に残っているお金から、ざっくりでいいので割り出しましょう。
自己資金が決まったら、住宅ローンの借入金額を合わせて、ざっくりとした予算表を作ります。
ざっくりとした予算表
年収650万円(家賃8万円)、借入可能額2,415万円(返済額:8万円/月)~5,723万円(19万円/月)、自己資金520万円の場合、最低予算額と最高予算額はこちらです。
【最低予算額】2,415万円+520万円=2,935万円
【最高予算額】5,723万円+520万円=6,243万円
こちらをもとに予算表を作ると、お金のことを考えるときに、だいたいの金額を割り出せます。
こちらは、最低予算額と最高予算額の範囲を3分割にした予算表です。
「現実エリア」は、今の生活と同等もしくはちょっと頑張ればイケるエリア。
「マジ悩むエリア」は、こだわりが強くて予算オーバーしたときに、価値観とお金がせめぎあうエリア。
「無理ゲーエリア」は、毎月の支払いで「マジ無理!」というエリア。
予算をどれぐらいにすればいいか分からない方は、ひとまず「現実エリア」の金額を予算にしてください。
ざっくりとした予算が決まったら、次は、営業担当者が話す金額を理解できるように、家を建てる時にかかる費用の内訳を把握していきます。