注文住宅を建てるときに悩むのが、どのくらいの予算なら家を建てられるか分からないことです。住宅関連の書籍の多くに資金計画の立て方の説明がありますが、いきなり予算をどれぐらいにするか決めるのではなく、おおよその予算から土地の広さや建物の大きさをイメージすることからはじめましょう。
予算といっても多くの方は住宅ローンを利用します。予算のほとんどは住宅ローンの借入額ですので、借入額以上の一戸建て住宅は建てることができません。
住宅ローンの借入可能額は年収で決まりますが、借入可能額いっぱいで借りる方はまずいませんので、現在お住まいの家賃から逆算しておおまかな予算を決めて、どのくらいの広さの土地にどのくらいの大きさの建物が建てられるのかを把握しましょう。
こちらでは、今から注文住宅で一軒家を建てようと思っている方、予算からどういった建物が建てられるのか知りたい方向けに、以下の4つの項目で詳しくまとめています。
- 予算の内訳
- 現在の家賃から住宅ローンを算出
- エリアから土地の広さと建物の大きさをチェック
- 土地と建物にかけられる予算を算出
予算の内訳
注文住宅の予算の内訳は大きく分けて「自己資金」と「住宅ローン」の2つがあります。
自己資金
自己資金とは、手元にあるお金の中で土地・建物の費用に充てる資金のことです。
手持ち金・頭金とも呼ばれますが、手元にあるすべてのお金を自己資金にすると突然入院したり不測の事態で支払いが困難になるため、ある程度のお金は手元の残しておかなければいけません。
手元に残すお金は家族構成によって変わりますが、3~6ヶ月分の生活費を手元に残して自己資金を計算しましょう。
自己資金 = 1,000万円 - 240万円 = 760万円
親・親族からの資金援助
自己資金の中には、ご自身の預金意外にも親や親族から資金援助してもらったお金も含まれます。
親からの資金援助には、住宅取得等資金贈与の特例で贈与税が非課税になることもありますが、親から援助してもらう際は税金についてもよく考えましょう。親・親族からの資金援助の詳細については、「注文住宅入門書」を読み進めていく中で詳しく説明していますので、ここでは割愛します。
・親からの資金援助は、住宅取得等資金贈与の特例で贈与税が非課税になる
住宅ローン
住宅ローンは、土地購入・注文住宅新築の目的のために、土地と建物を担保として銀行などから資金を借りるローンのことです。今回は、住宅ローンの中でも利用者が多い「フラット35」でシミュレーションしていきます。
フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して行う住宅ローンで、最長35年間までの全期間固定金利で最高で8,000万円まで融資が受けられます。一般的な住宅ローンで必要な保証料や返済中の繰上返済時にかかる手数料もかからないのも特徴の一つです。
・フラット35は、最長35年間までの全期間固定金利で最高で8,000万円まで融資が受けられる
現在の家賃から住宅ローンを算出
予算の中で一番割合が多いのが住宅ローンです。住宅ローンのシミュレーションではいくつかの方法がありますが、今回は毎月の返済額を現在の家賃に合わせてどれぐらい借り入れができるのかを確認していきましょう。
フラット35で住宅ローンシミュレーション
フラット35のサイトには毎月の返済額から借入可能額が計算できるローンシミュレーションページが用意されています。ローンシミュレーションでは以下の必要な情報を入力することで概算の借入可能額が計算できます。
- 毎月返済額
- 融資金利
- 返済期間
- 返済方法
例えば融資金利「年2.400%」返済期間「35年」返済方法「元利均等」で毎月返済額別に借入可能額を算出すると以下になります。
毎月返済額(万円) | 借入可能額(万円) | 毎月返済額(万円) | 借入可能額(万円) |
---|---|---|---|
3 | 851 | 13 | 3,691 |
4 | 1,135 | 14 | 3,975 |
5 | 1,419 | 15 | 4,259 |
6 | 1,703 | 16 | 4,543 |
7 | 1,987 | 17 | 4,827 |
8 | 2,271 | 18 | 5,111 |
9 | 2,555 | 19 | 5,395 |
10 | 2,839 | 20 | 5,679 |
11 | 3,123 | 21 | 5,963 |
12 | 3,407 | 22 | 6,247 |
現在の家賃を毎月返済額と考えていくら借入ができるのかを確認してください。なぜ家賃から考えるのかというと今住まわれている家賃が生活できているということは給料に対して無理のない生活ができる金額だからです。
住宅ローンの借入可能額は年収で決まると説明しましたが、年収から借入可能額を把握するのは現実的ではありません。こちらは、同じ条件で年収別に計算した借入可能額です。
年収(万円) | 借入可能額(万円) | 年収(万円) | 借入可能額(万円) |
---|---|---|---|
50 | 354 | 550 | 4,555 |
100 | 709 | 600 | 4,969 |
150 | 1,064 | 650 | 5,383 |
200 | 1,419 | 700 | 5,797 |
250 | 1,774 | 750 | 6,211 |
300 | 2,129 | 800 | 6,625 |
350 | 2,484 | 850 | 7,039 |
400 | 3,312 | 900 | 7,454 |
450 | 3,727 | 950 | 7,868 |
500 | 4,141 | 1,000 | 8,000 |
※上限8,000万円のため年収1,000万円以上の方は8,000万円まで借入可能
例えば年収500万円で4,141万円借入できますが、同じ借入条件での支払額は14.6万円/月です。年収の約45%が住宅ローンの返済額で、一般的に家賃は年収の3,4割と言われているよりも多く支払う計算になります。
厳しい返済額で予算を立てると生活が苦しくなりますので、概算でチェックするときは、現在の家賃を毎月返済額と考えて、いくら借入ができるのかを確認しましょう。
現在の金利で計算したい方は、まずフラット35サイトの毎月の返済額から借入可能額を計算するローンシミュレーションにアクセスします。
毎月返済額
こちらには、現在の家賃もしくは、毎月の支払いが可能な金額を入力します。実家通勤で家賃を支払っていない方は、月給の3割を毎月返済額で計算しましょう。
融資金利
融資金利は、金融機関やその月によって変動します。「最新の金利情報」をクリックすると融資金利情報ページが開きます。
融資率が「9割以下」「9割超」とありますが、敷地・建物取得費用の9割以下を住宅ローンでまかなう場合は9割以下の金利が、超える場合は9割超の金利が適用されます。
- 敷地・建物取得費用の9割以下を住宅ローンでまかなう場合は、9割以下の金利
- 敷地・建物取得費用の9割を越える場合は、9割超の金利
金利は金融機関によって異なりますが、金利範囲の中で一番高い金利を設定しましょう。例えばこちらの画像でいえば、年2.400%の金利を適用させます。
金利が高ければ借入可能額が小さくなりますが、最低借入可能額でシミュレーションしていきます。
返済期間
返済期間はどれぐらいの期間借りるかの期間にもなりますが、ここではフラット35の最長35年で設定します。
返済方法
返済期間には、「元利均等」と「元金均等」の2種類があります。元金均等は元利均等よりも元金の減少が早いので、元利均等返済よりも総返済額が少なくなります。「元金均等」に設定すると借入可能額も小さくなるのですが、ほとんどの方は無理のない返済計画を立てるために「元利均等」を選択されるので、「元利均等」を選択します。
- 元利均等返済・・・返済額が一定だが、元金均等返済よりも総返済額が多くなる
- 元金均等返済・・・返済額は返済が進むにつれて少なくなるが、元金の減少が早い
必要な項目を入力して「計算する」をクリックすると、概算の借入可能額が算出されます。
低く計算していますので、金利が低い金融機関で住宅ローンを組めばもっと借りられる金額は増えますが、審査も考えた場合、高い金利で計算しておいたほうが安全です。
ここでは、あくまで予算の目安を算出するためのものですので、借入額が少ないからといって落胆しないでください。
・毎月の返済額は現在の家賃もしくは毎月の支払いが可能な金額で計算すること
予算を合算する
住宅ローンの借入可能額を算出したら、次は予算を合算します。予算の内訳はこちらです。
例えば自己資金500万円で、住宅ローン借入額2,555万円(毎月返済額9万円)なら予算は3,055万円になります。
3,055万円 = 500万円 + 2,555万円
おおまかな予算を算出できたら、次は住みたいエリアからどれぐらいの広さの土地でどれぐらいの大きさの注文住宅が建てられるのかをチェックしていきます。
エリアから土地の広さと建物の大きさをチェック
おおまかな総予算を算出したら、次はエリアから土地の広さ(敷地面積)と建物の大きさ(建築面積・延床面積)をシミュレーションしていきます。
- ①建物の大きさを決める
- ②建てたいエリアの建蔽率・容積率・坪単価をチェックする
- ③必要な敷地面積と土地価格を算出する
- ④敷地に対して建築可能かチェックする
①建物の大きさを決める
間取りを考えるときに必要な部屋の洗い出しを行いますが、例えば子供1人の3人家族であれば、子供部屋・寝室・客室・書斎・リビング・ダイニング・キッチンの4LDKはほしいところです。
一般的には3LDK~5LDKで注文住宅を建てられる方が多いですが、必要な部屋の広さを合計して大まかな延床面積と建築面積を計算していきます。
例)1階:70㎡ 2階:65㎡ であれば延床面積は 70㎡+65㎡=135㎡
例)1階:70㎡ 2階:65㎡ であれば建築面積は 70㎡
- 寝室 8帖
- 子供部屋 6帖
- 書斎・客室 6帖
- LDK(リビングダイニングキッチン) 20帖
- トイレ 1帖
- 脱衣所・洗面所 2帖
- 浴室 2帖
- 玄関 1帖
- 階段 2帖
- 収納 1帖/部屋
- 廊下 4帖
※必要な部屋の広さは一般的な広さより少し広くとってあります。
タイプ | 延床面積(㎡) | 建築面積(㎡) |
---|---|---|
3LDK | 92 | 46 |
4LDK | 104 | 52 |
5LDK | 116 | 58 |
6LDK | 127 | 64 |
7LDK | 139 | 69 |
こちらの表は、タイプ別に必要な部屋の広さを合計したものです。畳1帖を中京間(三六間)の「1.65㎡」で計算しており、建物の形状は1階と2階の床面積がほとんど同じ総2階の建物を想定して算出しています。
家族構成や生活スタイルからどのタイプの注文住宅を建てたいのか選択しましょう。部屋の大きさもある程度決めているのであれば、建物の大きさを調整してもかまいません。
・建物の大きさを決めている場合は、その大きさを採用する
②建ぺい率・容積率・坪単価をチェックする
建物の大きさが決まったら、次は住みたいエリアの土地情報をチェックします。チェックする項目は「建ぺい率」「容積率」「土地の坪単価」の3つです。
建ぺい率(%)=建築面積(㎡)÷敷地面積(㎡)×100
敷地面積(㎡)=建築面積(㎡)÷建ぺい率(%)×100
容積率(%)=延床面積(㎡)÷敷地面積(㎡)×100
延床面積(㎡)=敷地面積(㎡)×容積率(%)÷100
坪単価(万円/坪)=売買価格(万円)÷(敷地面積(㎡)×0.3025(坪/㎡))
不動産情報サイトから情報収集
「建ぺい率」「容積率」「土地の坪単価」の3つの情報は、スーモやアットホームなどの不動産情報サイトから入手できます。「土地 購入 地域名」で検索するとほとんど不動産情報サイトが上位に表示されますので、そちらから情報をチェックしましょう。
敷地の詳細ページでは、「建ぺい率」「容積率」「坪単価」が掲載されています。もしも坪単価が掲載されていない場合は、計算式を用いてその土地の坪単価を算出しましょう。
敷地面積:172.21㎡
販売価格:1,190万円
坪単価(万円/坪)=売買価格(万円)÷(敷地面積(㎡)×0.3025(坪/㎡))
22.8万円/坪≒1,190万円÷(172.21㎡×0.3025(坪/㎡))
住みたいエリアがまだ決まっていなくても候補として考えているエリアの「建ぺい率」「容積率」「土地の坪単価」から求めましょう。
・住みたいエリアの「建ぺい率」「容積率」「土地の坪単価」をチェック
③必要な敷地面積と土地価格を算出する
「建ぺい率」「容積率」「土地の坪単価」をチェックしたら、これまで算出した5つの項目から敷地面積と土地価格を算出します。
- 延床面積:104㎡(4LDK)
- 建築面積:52㎡(4LDK)
- 建ぺい率:50%
- 容積率:150%
- 土地の坪単価:22.8万円/坪
必要な敷地の広さは、建ぺい率から求められますので、計算すると建物の大きさに必要な敷地面積は104㎡で坪に換算すると31.46坪になります。
敷地面積(㎡)=建築面積(㎡)÷建ぺい率(%)×100
104㎡=52㎡÷50%×100
104㎡×0.3025坪/㎡=31.46坪
④敷地に対して建築可能かチェック
土地のおおまかな予算を算出しましたが、建築基準法には建築物の用途制限というものがあります。用途制限を簡単に言えば、土地によっては希望通りの広さで建築することができない場合もあるということです。
ここでは、住みたいエリアで建物の大きさが建築可能かどうかをチェックしていきます。チェックする際に利用するのが「容積率」です。
延床面積(㎡)=敷地面積(㎡)×容積率(%)÷100
156㎡=104㎡×150%÷100
延べ床面積チェック:156㎡ > 104㎡ OK
事例のエリアでは延床面積156㎡までしか建築できませんが、シミュレーションでは延床面積104㎡(4LDK)となっており、範囲内で問題ありません。
もしも、容積率が100%であれば104㎡で制限ギリギギリ、80%であれば83.2㎡でオーバーするため、建物全体もしくは2階部分を小さくしなければいけません。
今回はシミュレーションのため、範囲内に収まらない場合は、建物を小さくするのではなく敷地面積を広くしましょう。
延床面積(㎡)=敷地面積(㎡)×容積率(%)÷100
83.2㎡=104㎡×80%÷100
延べ床面積チェック:83.2㎡ < 104㎡ NG
敷地面積(㎡)=延床面積(㎡)÷(容積率(%)÷100)
130㎡=104㎡÷(80%÷100)
130㎡×0.3025坪/㎡=39.325坪
容積率が80%の場合は建築できませんので、建築可能な敷地面積を算出し直しましょう。
土地を持っている方へ
注文住宅を建てる場合は、土地ありと土地なしの2パターンがありますが、土地を持っている方は、敷地面積・建ぺい率・容積率が確定しています。希望する建物の大きさが建ぺい率・容積率をオーバーした場合は、制限ギリギリの面積を算出しましょう。
・シミュレーションで建築不可になったら、建築可能な敷地面積を算出する
・土地持ちで用途制限オーバーの場合は、制限ギリギリの面積を算出する
土地と建物にかけられる予算を算出
敷地の広さと建物の大きさが決まったら、いよいよそれぞれの予算を算出していきます。
- ①土地にかける予算を算出する
- ②建物にかけられる予算を算出する
- ③建物の坪単価をチェックする
①土地にかける予算を算出する
敷地面積と土地の坪単価が分かれば、簡単に土地の価格が計算でき、717万円となります。
31.46坪 × 22.8万円/坪 ≒ 717万円
土地を購入する際は、土地代だけでなく諸費用がかかりますので、土地取得費用の10%を見込みと土地にかける予算は797万円になります。
土地にかける予算=土地価格(90%)+諸費用(10%)
土地にかける予算=土地価格÷0.9
797万円≒717万円÷0.9
・諸経費は10%程度
②建物にかけられる予算を算出する
次に総予算から土地にかける予算を差し引いたものが注文住宅の総費用で、計算すると2,258万円となります。
注文住宅の総費用=総予算-土地にかける予算
2,258万円=3,055万円-797万円
ここで、注意しなければいけないのが、2,258万円がそのまま建設費に充てられるということではありません。
注文住宅の総費用の内訳
注文住宅の総費用の内訳は以下の3つに分類されます。
- 本体工事費・・・建物本体の工事費
- 付帯工事費(別途工事費)・・・ガス・電気の引き込みなど建物本体に付随する工事費
- 諸経費・・・建物取得に要な税金・手数料などの費用
諸経費は基本的に現金での支払いとなり、総費用の10%ぐらいが相場です。建物にかけられる予算は、注文住宅の総費用から付帯工事費20%と諸経費10%を差し引いた金額となります。
建物にかけられる予算=注文住宅の総費用-付帯工事費(総費用の20%)-諸経費(総費用の10%)
1,580.6万円=2,258万円-451.6万円-225.8万円
こちらの例では、1,580.6万円が実際に建物にかけられる予算ということになります。
・付帯工事費は20%、諸経費は10%程度
土地を持っている方へ
土地を持っている方は、土地代がかかりませんので、予算のすべてを建設費に費やすことができます。
注文住宅の総費用=総予算
3,055万円=3,055万円
建物にかけられる予算=注文住宅の総費用-付帯工事費(総費用の20%)-諸経費(総費用の10%)
2,138.5万円=3,055万円-611万円-305.5万円
③建物の坪単価をチェックする
建物の予算を算出したら、延べ床面積に対して現実的な予算なのかをチェックします。一般的な建物の坪単価は35~80万円/坪ぐらいで、ハウスメーカーや工務店が伝える坪単価は、本体工事費のみで計算されていることが多いです。
本体工事費のみで計算すると総費用で計算するよりも坪単価が安くなりますので、安く建てられる印象を与えるために本体工事費のみで計算するところが多いです。
今回のシミュレーションでも本体工事費のみで計算しますので、一般的な坪単価に収まるかをチェックしていきます。
建物の坪単価(万円/坪)=建物にかけられる予算÷(延床面積(㎡)×0.3025(坪/㎡))
50.2万円/坪≒1,580.6万円÷(104㎡×0.3025(坪/㎡))
坪単価チェック: 35 < 50.2万円/坪 > 80 OK
建物の坪単価(万円/坪)=建物にかけられる予算÷(延床面積(㎡)×0.3025(坪/㎡))
68.0万円/坪≒2,138.5万円÷(104㎡×0.3025(坪/㎡))
坪単価チェック: 35 < 68.0万円/坪 > 80 OK
今回のシミュレーションでは、両方とも一般的な坪単価の範囲内でしたが、坪単価が高い分には、余裕を持って注文住宅を建てられる予算なのでさほど問題ではありませんが、坪単価が低いのは問題です。
例えば、シミュレーションして建物の坪単価が15万円/坪と算出されたら、まずどの施工業者でも15万円/坪で建てることができません。建物の坪単価が低くなるのは、東京・大阪など地価が高いエリアでよく見られる現象です。
理由は、土地の坪単価が高く建物よりも土地代の方が高くなるからです。そういった場合は、郊外エリアに変更したり、狭小地で3階建て住宅を検討する形になります。
・坪単価が35万円/坪未満の場合は、要検討
項目の関係性を意識するとシミュレーションしやすい
注文住宅の予算から実現可能な土地と建物の広さをシミュレーションする際に以下の6つの項目を利用しました。これらの項目の関係性を意識するとシミュレーションしやすくなります。
- 総予算
- 延床面積
- 建築面積
- 建ぺい率
- 容積率
- 土地の坪単価
注文住宅にかけられる金額が少ない
注文住宅にかけられる金額が少ない場合は、土地の価格を抑えることと建物の大きさを小さくすることです。
- 土地を小さくする
- 坪単価の安い郊外を検討する
- 建築面積・延床面積を小さくする
容積率が厳しく建物が建てられない
容積率が厳しく建物が建てられない場合は、広い土地を検討するか、エリアを少しずらして制限がゆるい用途地域に変更するか、建物の大きさを小さくすることです。
- 広い土地を検討する
- 制限がゆるいエリアを検討する
- 建築面積・延床面積を小さくする
理想のエリアでも予算オーバー
理想のエリアで土地・建物の制限もクリアしており、予算だけが合わない場合は、毎月の返済額や融資金利、部屋ごとの大きさをより現実的な数値に調整することです。
- 毎月の返済額を調整する
- 融資金利を調整える
- 部屋の大きさを調整える
エリアは変えたくないけど予算オーバー
注文住宅を建てる第一希望がエリアの場合は、狭小の土地で3階建て住宅を検討することです。
- 狭小の土地を検討する
- 3階建てを検討する
土地検討時の注意点
土地を新たに購入する場合は、不動産屋やハウスメーカー、工務店に探してもらうことが多いです。土地がなかなか見つからないエリアでは不動産はハウスメーカー、工務店と提携していることが多く、消費者が先に情報を知ることが困難です。
ハウスメーカーや工務店でも自社が所有している土地を勧めたり、不動産屋からの情報を精査せずにそのまま消費者に勧めることが多いです。
実際に私も50坪ぐらいの土地を希望していたにもかかわらず、工務店が所有している30坪の土地を勧められ断った経験があります。「まずは、見てから検討を・・・」と担当者の言われるままにコトを勧めていくと後々後悔しますので、希望の土地の広さをしっかりイメージしましょう。
・事前に希望の土地の広さをイメージしておく
・広すぎる土地もNG
まとめ
ここまで予算からどのぐらいの広さの土地でどのくらいの大きさの注文住宅が建てられるのかを説明しました。改めて要点をまとめると以下になります。
総予算 = 自己資金(親・親族からの資金援助含む) + 住宅ローン
毎月返済額・融資金利・返済期間・返済方法から借入可能額を把握
- 建蔽率・・・土地の広さで建物の大きさが決まる
- 容積率・・・土地の広さで建物の延床面積が決まる
土地にかける予算=土地価格(90%)+諸費用(10%)
注文住宅の総費用=総予算-土地にかける予算
建物にかけられる予算=注文住宅の総費用-付帯工事費(総費用の20%)-諸経費(総費用の10%)
- 建物価格を下げる・・・土地を小さくする、坪単価を下げる、建築面積・延床面積を小さくする
- 容積率オーバー・・・土地を広くする、制限がゆるいエリアにする、建築面積・延床面積を小さくする
- 予算が合わない・・・毎月の返済額・融資金利を調整する、部屋の大きさを調整する
- エリアを変えたくない・・・狭小住宅を検討する
- 業者に勧められる土地を考えなしに見に行かない
- 事前に希望の土地の広さをイメージしておく
それと、土地を所有している方は、土地代がかからない分建物にかけられる金額が多くなりますが、ほとんどの方は土地を購入して注文住宅を建てられます。
今後土地探しをする際にどれぐらいの家が建てられるかエリアで制限されていますので、予算と土地の情報からどのぐらいの広さの土地でどのくらいの大きさの注文住宅が建てられるのかをイメージしましょう。
土地を業者に探してもらう場合も業者の話を鵜呑みにしたり、丸め込まれないようにするためには、しっかりポイントを押さえて注文住宅の計画を立てることが大切です。
家賃から大まかな予算を把握したら、次は具体的に家を建てる目的や希望を明確化していきます。